「地政学的要衝研究会」は、日本の対外政策や日本企業のグローバル戦略の前提となる情勢判断の質を向上させ、平和と繁栄を考えるうえで不可欠な知的社会基盤を形成することを目指して、鹿島平和研究所と政策シンクタンクPHP総研が共同で組織した研究会。第一級のゲスト報告者による発表をもとに、軍事や地理をはじめとする多角的な視点から主要な地政学的要衝に関する事例研究を行い、その成果を広く社会に公表する。
「政治現象と地理的条件との関係を研究する学問」(広辞苑)
「国家を地理的有機生物、もしくは空間における現象として考える科学」「アウタルキー(自給自足)」(ルドルフ・チューレン)
「国家は生きている有機的組織体で優秀な国家は必然的にレーベンスラウム(生存圏)を求める。国家は生き物で領土はその身体、国境は皮膚にあたり、その成長のためには次々と大きな領土を必要としてくる」(フリードリッヒ・ラッツェル)
「地理を政治に直結させて考える体系的な学問・知識」(マッキンダー)
「地球全体を常に一つの単位と見て、その動向をリアルタイムでつかみ、そこから現在の政策に必要な判断の材料を引き出そうとする学問」
「地政学の本来の目標は、様々な地理的要因の組み合わせを、極度に簡略に図式化して見せ、単純明快な政略の指針として提示すること」(曽村保信)
「地理概念上に展開される国家政治戦略の学問」(奥山真司)
「人間の分断に地理が及ぼす影響のこと」(ロバート・カプラン)
参考文献
曽村保信『地政学入門』(中央公論新社)
庄司潤一郎、石津朋之『地政学原論』(日本経済新聞出版)
奥山真司『サクッとわかるビジネス教養 地政学』(新星出版)
奥山真司『地政学―アメリカの世界戦略地図』(五月書房)
ロバート・カプラン『地政学の逆襲』(朝日新聞出版)
「山脈や河川、天然資源といった地理的要素は、そこに住む人々や文化、ひいては国家の動向を左右する」
「地理は、すべての知識の出発点である。政治経済から軍事まで、あらゆる事象を空間的に捉えることで、その本質に迫ることができる」
ロバート・カプラン『地政学の逆襲』(朝日新聞出版)
「地理は最も永続的であるため、国家の外交政策における最も基本的な要素である。大臣が来て大臣が行き、たとえ独裁者が死んでも山脈は動じない」
ニコラス・スパイクマン『スパイクマン地政学―世界政治と米国の戦略』(芙蓉書房出版)
米中対立を中心とする大国間競争が本格化する中、「インド太平洋」や「南シナ海」、「一帯一路の交易路の確保」といった地理的概念がメディアを賑わせる。
巷には「地政学」と名のつくタイトルの書籍や記事が溢れ、地政学への関心が高まっている。しかしその内容の多くは、地図を使った歴史解説や国際政治リスクの言い換えにとどまっている。
地政学とは
「国の地理的な条件をもとに、他国との関係性や国際社会での行動を考えるアプローチ」
奥山真司『サクッとわかるビジネス教養 地政学』(新星出版)
地理が持つ意味合いは、政治環境や技術的条件などとの相互作用で大きく変化する。また軍事を知ることなしに国際政治における「地理」の重要性を理解することは困難。
なぜ米国や中国やロシアといった大国は、特定の土地(国や地域)、海峡や航路を支配しようと競い合うのか?
これを知ることで国際政治上のホットスポットの背景や戦略的課題、そしてリスクの本質を理解することにつながる。
Part1 | 古典地政学の世界 |
Part2 | 古典地政学でみるロシア・ウクライナ戦争 |
Part3 | 中国が仕掛けるオールドメインでの「超限戦」 |
Part4 | 「地政学的要衝」決定づける軍事的ファクター |
Part5 | 四次元の海洋地政学 |
Part6 | 安全保障の命運を握る宇宙 |
Part7 | 気候変動と新たな地政学的要衝 |
Part8 | 米中戦略的競争とインド太平洋 |
Part9 | 日本の課題 |
※講師のお肩書は『Voice』掲載時のものです。 |