図1 Photo:Shutterstock |
2013年3月17日、習近平氏は「“中華民族の偉大なる復興”という“中国の夢”を実現するため引き続き奮闘、努力しなければならない」 「中国の夢」とは「強国の夢・強軍の夢」「失われた領土……台湾、尖閣諸島、南シナ海を回収する“夢”」だと宣言。 2017年10月、習近平国家主席は、「2035年までに軍隊、 国防の現代化を基本的に実現し、今世紀中葉までに人民解放軍を“世界一流の軍隊”にする」という長期目標を掲げた。 軍事的に米国に追いつき追い越すことを国家目標に掲げる世界唯一の国……中国。 |
「台湾有事」は起きるのか?小野田治氏(日本安全保障戦略研究所上席研究員・元空将)によれば、中国による武力侵攻を考える際にポイントとなる能力は以下の3つ: ①「海上・航空優勢を獲得する能力」 ②「大規模な兵力を機動する能力」 ③「米軍の介入が間に合わない態様とスピードで作戦を遂行する能力」 中国は、武力侵攻のために必要なこの3つの能力を獲得するために着々と準備を進める。 |
図2 Image:Shutterstock |
2018年2月にトランプ前政権が策定した「インド太平洋における戦略的枠組み」では、「紛争時に第1列島線内での中国の持続的な空・海優勢を拒否すること」。
「台湾を含む第1列島線にある同盟諸国を防衛」し、「第1列島線外の全領域での優勢を確保すること」が目標→第1列島線防衛を通じて中国のチョークポイントを押さえる狙い。
バイデン政権は同盟国や協力国との関係を強化し、多国間連携で中国と対抗→日米豪印(QUAD)や米英豪(AUKUS)などの協力枠組みに加え、日米韓の同盟国間の関係強化、台湾への武器支援などを進め、重層的なパートナーシップ構築を狙う。
図3 関口高史氏作成 https://thinktank.php.co.jp/voice/8052/
南太平洋は、米国にとってはオーストラリアとの連絡の死命を制する重要な地域であり、アジアへ進出する際の入口。また、オーストラリアとニュージーランドと日本を結ぶ重要な航路であり、パプアニューギニアとソロモン諸島の間が地政学的要衝になる。
中国は食料自給率が70%にも満たない事態を受け、食の安全保障の観点から南太平洋を漁業資源の策源地として重要視。
南太平洋の中でもソロモン諸島はこれらすべてに重大な影響を与える要の島国である。2019年にソロモン諸島とキリバスが台湾と断交。2022年4月に中国はソロモン諸島と安全保障協定を締結。
関口高史氏(元防衛大学校准教授)によれば、南太平洋島嶼国を中国が掌握すれば、米国に対する接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略が可能になるという。
また、万が一ソロモン諸島のツラギ島あるいはガダルカナル島を中国が使用できることになれば、中国がそこから大陸間弾道ミサイル(ICBM)で米国本土を脅かす可能性も出てくる。中国によるソロモン諸島の「軍事化」は「第二のキューバ・ミサイル危機」を引き起こすことになるかもしれない……。