中国の戦略にもっとも大きな影響を与えたのがマハンの地政学。中国海軍の父とされる劉華清は、マハンのシーパワー論に傾倒し、その理論に沿って中国海軍を建設したとされる。中国の脅威認識と海軍建設の根源にマハンの地政学があり、「海を制するものが世界を制する」というマハンのシーパワー論に基づき、シーレーン防衛や(戦略的に重要な海上水路)の回避といった中国の安全保障観が形成された。
中国は第一列島線、第二列島線、そしてハワイにかけて第三列島線を引いている。この「列島線」という考え方は、中国のランドパワー的な発想から生まれている。中国は広い南シナ海に九段線という線を引き、その中を自分たちの海だと主張。 |
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図3 住田和明氏作成
図4 MAP : Shutterstock, 菅原出追記
中国は、インド洋沿岸や中東に海軍が利用できる停泊・休養・補給・船舶の造修などができる根拠地が必要。
マラッカ海峡からインド洋を経て中東・アフリカに至るシーレーン沿いや、アラビア海から紅海を経て欧州に至るパキスタン、スリランカ、バングラデシュ、ミャンマー、ジブチなどに軍事拠点・基地に準じた港湾施設を整備。
「海上シルクロード構想」は、マハンのシーパワー海洋戦略理論に戻づいていると見られる。またアジアの地中海(南シナ海)のリムランド(=ランドパワーとシーパワーの交わる地域)の支配を確立するため、南シナ海で人工島増設による軍事拠点化を進めている。
図5 渡部悦和氏作成
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