地政学的要衝決定づける軍事的ファクター

中国から見た南西諸島

図1 住田和明氏作成

図2 海洋政策研究所(笹川平和財団)島嶼資料センター作成資料に住田和明氏が加筆

水深と潜水艦の活動

中国にとって軍事的に不可欠な宮古海峡の確保

中国が、第1列島線と第2列島線の間の海域における米軍の自由な行動を拒否しようとすれば、中国海軍はこの海域で潜水艦を自由に行動させることが必要。

そのためには必然的にこの海域に行くための南西諸島地域の「チョークポイント」である宮古海峡の確保が不可欠。

太平洋への出入口である南西諸島や宮古海峡の確保は、中国にとって軍事的な観点からも死活的に重要なのだ。

住田和明氏(第2代陸上総隊司令官)

軍事的必要性から南シナ海とバシー海峡の支配を狙う中国

図3 下記の記事を元に尾上定正氏が作成

ロイター, "特別リポート:中国が高める核報復力、南シナ海に潜む戦略原潜" , (発行:2019年5月3日)

https://jp.reuters.com/article/china-nuclear-special-report-idJPKCN1S902A,(参照:2023年11月)

九段線で囲まれている南シナ海は、東シナ海に比べると水深が深く、原潜の作戦に適している。
(註:2023年8月に中国自然資源省が公表した『2023年版標準地図』では、九段線を台湾東部に拡大した十段線が記されている。)

中国は海南島の軍事化を進めている。
第一列島線内で水深の深い海峡は少なく、南シナ海からバシー海峡をコントロールすることは軍事的に重要。
現在の中国の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の射程からすれば、第二列島線を超えて西太平洋に出なければ、米本土を射程に収めることは困難である。
尾上定正氏(元空将)によれば、軍事戦略上、中国は南シナ海とバシー海峡をコントロールすることが必要なのだという。

核戦略及び海軍戦略からみた極東アジアの重要性

オホーツク海の全体聖域化

図4 佐々木孝博氏資料を基に作成