強い意志をもった楽観論で未来を切り拓け

牛尾治朗(ウシオ電機株式会社代表取締役会長)×永久寿夫(PHP総研研究主幹)

_MG_3891

7.自分が何とかするという強い意志をもて
 
永久 最後に、今後の日本の社会をよくしていくための基本的課題は何でしょうか。
 
牛尾 やはりよい政治家を育てること。保守本流の歴代総理、吉田、岸、大平、福田、そして中曽根さんあたりは、人物としても相当すぐれているわけですよ。最近はそういう人が見えない。安倍さんは久しぶりに出てきた海外に通用する人でしょう。でも、彼一人じゃ困る。もう一方では、いい経営者をつくらないと日本の経済は伸びない。だから、課題は、いい政治家と、いい経営者をいかにつくるか。それができなければ、日本の将来はないでしょう。いまは昔に比べて出発点が高いから、いい国をつくるのは楽なんですよ。終戦後は、焼け野原、しかも、優秀な人は公職追放という中から、高度成長を遂げたんです。
 
永久 危機感が希薄だから、むしろ難しいかなとも思いますが。
 
牛尾 危機感がなくて、だめになる人はだめになったらいい。戦後はね、だめになった人、餓死した人もいっぱいいたけれども、とにかく自分たちの会社をよくしてくことが、社会全体を繁栄させていく道なんだと考えたんですね。
それは今も同じですよ。このままタックスペイヤーが減って、タックスイーターが増えたら、国が破産するのは当たり前じゃないですか。だから、そうしてはならないという人が出てくるわけです。
 
永久 たしかにそうですね。そういう人は若者たちのなかにもいる、というか若者たちのなかにこそいるかもしれません。楽観的になっていいんでしょうか。
 
牛尾 強い意思が必要です。悲観主義者は気分だが、楽観主義者は大いなる意思を背景にしないと成り立たない。
 
永久 フランスの哲学者・アランの『幸福論』ですか。自分たちが何とかするという強い意思が、いまの日本人には必要ということですね。ありがとうございました。

関連記事