成長戦略の本格化と発信力のアップを期待する
8.日本の若者はもっと海外留学をしよう
フクシマ 日本では、英語で教える授業が何パーセントになったとか数字だけを気にしていますが、中身が問題です。ある方から聞いたのですが、日本人の学者の中には、外国留学後に日本の大学で英語で授業をしても、留学生にとってはあまりよくわかる英語ではない場合があるとのことです。講義の内容も、留学生が本国の友だちに「あまり中身がないから、ほかの国の大学に行ったほうがいいよ」と言われるほど。英語のレベルだけではなくて、話す内容の質も改善しなければならないということです。
日本の一流大学と、欧米の一流大学を比べると、社会が大学に対して求めているものが違うんでしょうね。日本の場合、理工学系はともかく、社会科学とか人文科学の分野においては、親も会社も学生自身も勉強にあまり期待していないのではないでしょうか。
永久 期待は高まっていると思うんです。最近はグローバル化が広がって、企業の大小にかかわらず、英語ができないと仕事にならない環境が増えてきている。でも、現状がそれに追いついてない。いまのお話のなかで強く共感するのは、英語だけじゃなくて、物事の捉え方、考え方、分析の仕方、ロジック、そうしたものを日本の教育の中では学ぶ機会が少ないということです。
フクシマ アメリカでやっているのは、「critical thinking」、つまり論理的に物事を分析しながら、現状の考えを覆すような議論をするという教育ですよね。これが「liberal arts」教育の基本ですが、日本の社会に果たしてなじむかどうか。
永久 なじむかどうかは別として、この国がサバイバルしていくには、「liberal arts」教育の充実が必要だと思うんです。
フクシマ 現状がなかなか変えられないとすれば、やはりより多くの日本の若者に海外留学の経験をしてもらうのが重要ですね。日本にいると非常に居心地がよくて、外国に出ない。外のことをあまり経験する機会がないんですね。遊びに行くだけじゃなくて、現地でほかの教育制度に触れる機会をつくってほしい。そうすると、世界のことも日本のこともよくわかるようになる。私の友達でも、高校や大学時代に海外留学したことによって、人生が変わったという人がたくさんいます。
永久 私もそのうちの一人です。
フクシマ そうですね。将来のことを考えると、若い人には本当に海外留学を勧めたいです。また、日本の大学にも、海外からの留学生や教員を増やして、国内でのグローバル環境の整備を推奨したいと思います。