成長戦略の本格化と発信力のアップを期待する

グレン・S・フクシマ(米国先端政策研究所上級研究員)×永久寿夫(政策シンクタンクPHP総研代表)

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5.人口動態の変化が民主党を有利にさせている
 
永久 さて今年は選挙の年、日本では参議院選挙が7月に予定されています。ある世論調査をみると、昨年の夏から秋にかけての安倍政権の支持率は40%前後だったのですが、12月に入って47%に上がりました。安倍政権の支持率はそれなりに高いんですね。一方の野党にはまとまりがないので、参院選では与党が勝つというのが大方の見方です。ということは、安倍政権のこれまでの経済政策、外交・安保政策が継続もしくは強化されると見るのが妥当なんだろうと。その時に、アメリカでは大統領選挙がある。誰になるのか、民主党なのか、共和党なのか。その違いによって日米関係にはどのような影響があると思いますか。
 
フクシマ 民主党ではヒラリー・クリントンが候補になると思いますね。自らを「社会主義者」と呼ぶバーニー・サンダースも人気があるのですが、彼を最終的な候補者として残したいという人はほとんどいないと思います。もし彼が民主党の最終候補になると、共和党が勝つ可能性が高まる恐れがあるからです。ただ、予備選の間、彼の支持者達は、彼を候補者として残すことで、「タカ派」「体制派」のヒラリーをもっと格差問題を含む庶民重視の経済政策に取り組むよう仕向けられるということです。
 
永久 共和党の方はどうですか。候補者がたくさん残っていますね。
 
フクシマ ジェブ・ブッシュは知名度も資金力もあるのですが、政策面が冴えないしコロコロ変わるので、残る可能性はかなり下がっていますね。世論調査では、政治家ではない、ドナルド・トランプ、ベン・カーソン、カーリー・フィオリーナの人気が高いですね。その背景には、共和党右派の間で政治家に対する不信が強いことがあります。ただ、トランプが共和党の最終候補者として残る可能性は低いと思いますね。「アメリカにはモスクは要らない」といった発言には共和党内からも批判が出るくらいですから。
 現時点では、マルコ・ルビオとテッド・クルーズが最有力候補と見られていますが、2008年の選挙を振り返ると、1年前の時点でリードしていた候補者が最終候補者としては残りませんでした。今回、民主党では番狂わせはなさそうですが、共和党のほうは誰になってもおかしくない状況ですね。
 
永久 ある方から、いわゆるWASPの影響力が相対的に低下している。人口動態の変化で構造的に民主党が有利という話を聞いたのですが、この点はいかがですか。
 
フクシマ 相対的に人口が増えている女性も若者も黒人もヒスパニックもアジア系アメリカ人もLGBTも、みんな民主党寄りです。ニューヨーク州もカリフォルニア州も、大統領選挙は民主党支持になることを誰も疑問視しないですね。テキサス州は現時点では共和党支持ですが、次の20年の間に変わると思いますよ。こうした全体的傾向を踏まえると、共和党の候補者が誰になったとしても、ヒラリーのほうが有利だと見られています。
 

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