政策提言「新しい勤勉(KINBEN)宣言―幸せと活力ある未来をつくる働き方とは―」【1】

小峰隆夫(法政大学教授)×小島貴子(東洋大学准教授)×永久寿夫(政策シンクタンクPHP総研代表)

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6.「正社員」という呼称をやめて全員を「社員」と呼ぶ
 
永久 経営者の立場になると、「いやー、大変だなぁ」という感覚になるでしょうね。働いている人たちにとっては、自分が望む働き方に近くなるわけだから、幸福感というか、満足感が出てくるかもしれませんが、会社としてのパフォーマンスを上げていくためには、すごく複雑な要素で全体のハーモニーをつくらなければならない。松下幸之助は「経営は総合芸術」だと言っていましたが、まさにそうですよね。それをやる発想力やマネジメント力も高めていかないといけませんね。
 
小峰 これから先、働く人の数は、多くの人が思っているより、もっともっと足りなくなります。人を大切にしないとどうしようもない時代になるはずです。これを逆に「人手が少ないのだから2人分働け」となっては労働強化になってしまい、結果として逆効果になります。バブルが崩壊した後、企業は人件費を削るためにどんどん人を減らしましたが、一人当たりの仕事は増えたので、働く人のモチベーションが下がりました。この二の舞を演じてはいけません。人を大切にする経営者なり企業でないと、これからは生き残れない。そういう時代になるのではないかと思います。
 
小島 提言のなかには、「正社員」という呼び方をやめようというものがあります。正社員が正しくて、正社員でない人が正しくないというのはおかしい。みんな「社員」と呼べばいいというのは、まさにそのとおり。雇用の形態は社員の選択であって企業の選択ではないという認識をもてるようにしないといけませんね。働く側が会社ときちんと契約をして、「私は任期つきの雇用がいいのです。なぜならば、これからライフワークで、2年たったら外国に行って勉強するのです」という人がいていいと思うのです。
 

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