株式会社アバンティ 代表取締役 渡邊智惠子 (聞き手:PHP総研 山田花菜)

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――遺伝子組み換えの種をつかったコットンは、有機栽培でもオーガニックコットンとは認められないということですが、遺伝子組み換えの種では、なぜいけないのでしょうか。
 
渡邊:たとえば除草剤や殺虫剤を撒いても枯れないように遺伝子組み換えを行ったコットンの種を、対応した除草剤や殺虫剤などの化学薬剤と組み合わせて売ります。ですが、雑草にもだんだん耐性ができて来て、効き目がなくなってくるので、薬剤の量を増やしたり、もっと強い薬剤を使うようになったりと、結局エスカレートしていって、環境破壊につながります。
 また、遺伝子組み換えの種は翌年発芽しない、あるいは発芽したとしても発芽率が非常に悪いので、コットン農家の人は毎年種を買うことになります。これでは、持続可能な農業になりえません。
 そういったことが問題視され、遺伝子組み換えのものはオーガニックコットンとは認められていません。
 
――オーガニックコットンの収穫の状況は安定しているのですか? 
 
渡邊:悪くはないです。通常のコットンと比べても、オーガニックだからだめなんてことは全然ない。収穫量が厳しくなったことはありますが、供給できないほどになったことはないですし、収穫量にかかわらず一定の価格を維持しているので、通常のコットンが不作で市場価値が上がって、オーガニックコットンのほうがむしろ安くなっていた年もあります。
 私は、じっくり育まれてきたその土地に根差したものと、即席でつくられたものとでは、強さが違うような気がしています。干ばつや病気や害虫には、むしろオーガニックコットンのほうが強い。やはり、原種、固有種というのか、その土地でずっと循環してきた種というのは、養分の取り方とかその土地の特徴に合ったものになってきていると思うんです。

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