子どもたちの意欲を育む大人の関わり方
林さんのインタビュー第1回はこちら: 「児童養護施設の子どもたちのスムーズな門出を応援したい」
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――活動開始から11年、さまざまな試行錯誤を重ねられてきたと思いますが、大きく変わったことはありますか?
林:私たちの活動の3つの柱のひとつに「啓発活動」があるんですけど、啓発活動というのは、要するに外に向けてメッセージを発信することですよね。自立支援はどうあるべきか、子どもたちをどんな子どもたちとして受け止めてもらいたいのか、慎重に言語化して発信しなければならない。それで、最初は「かわいそう」をアピールしたんですよ。「こんなに恵まれない環境にある子どもたちって、かわいそうですよね」という啓発活動をしていたんです。
でも、それによって当事者の子どもたちが嫌な思いをしているということを知って、方針を変えたんです。「恵まれない環境でも、こんなにがんばっている子どもたちがいます」「この子たちの可能性をまず知ってください」というメッセージを発信するようになりました。もしかしたら「かわいそう」のほうが寄付は集まるのかもしれませんが、そのために子どもたちを傷つけるわけにはいかないですよね。
――「かわいそう」という発信から方針転換までには、どのくらいの期間があったんですか?
林:5年くらいだったと思います。その間も、「そういうふうに見られるのは嫌だ」という子どもたちの声は聞いていて、葛藤を抱えていました。わかりやすいからと外向きには「かわいそう」をアピールしつつ、子どもたちには「あなたのことを応援しているよ」という顔を向ける。でも、私たちが外に向けて子どもたちのことをどうアピールしているのか、やっぱり子どもたちも見ているんですよね。それで、子どもたちと長期的な関係を築いていきたいということも考えると、ここは私たちがきっちりスタンスを決めるしかない、ということで方針を転換しました。