すべての人が、思いを自分の仕事に込められるように
――活動の幅がどんどん広がっていきますね。留職プログラムを導入する企業も増え、メディアに取り上げられる機会も多いと思いますが、小沼さんのご活躍を見て、大学時代の友人の方々の反応はいかがですか?
小沼:友人たちとはいまでもときどき飲んだりしていますが、「刺激をもらっているよ」とよく言ってもらえて、それがすごく嬉しいんです。いま僕がやっているのは、青臭さを前面に出した事業だと思っているんですが、そういうやり方をしていることをメディアで取り上げていただいたりすることで、僕がロシナンテスの川原さんから教えていただいたような、「ああ、こういうふうにも生きられるんだ」というメッセージを伝えられているということかな、と思って。
NPOでも大企業でも、そこで働いているすべての人が、自分の思いを仕事の中に込められる状態がいちばん幸せだと思うので、僕やクロスフィールズの取り組みがそこに近づけるようななにかになれているのだとしたら、それが本当に、いちばん嬉しいです。
いま振り返ると、就職してから2、3年目って、いちばんモチベーションが落ちていた時期なのかなという感覚もあって、30代中盤になってきたいま、「企業のリソースを使って一緒にやろう」「一緒にこんなことを仕掛けよう」と声をかけてもらう機会がだんだん増えてきたり、ある程度権限のある役職に就いた先輩が「うちの会社でも取り入れたい」と言ってくださったり、そういう動きが生まれ始めています。
それなりのポジションになってきた同世代の友人たちと、どうやって組織同士を競わせるか、組織の力を活かしてどんなおもしろいことができるか、そんな作戦会議をしながら飲める。それはとても楽しいですよね。
――小沼さんの情熱が、留職プログラムを通して派遣される方とその企業に伝わり、その取り組みを見聞きする人々にも広がっているように感じます。お話を伺っていて、とてもわくわくする取り組みでした。本日はありがとうございました。
小沼 大地(こぬま だいち)*1982年神奈川県生まれ。青年海外協力隊としてシリアにて環境教育事業に従事。その後マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社、人材育成領域を専門とし、国内外の小売・製薬業界を中心とした全社改革プロジェクトなどに携わる。2011年3月独立、NPO法人クロスフィールズ設立。世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Shapers Community(GSC)に2011年より選出されている。
【写真:遠藤宏】