子どもたちがまち中の人と出会える環境を

ナチュラルスマイルジャパン 代表取締役 松本理寿輝

A91A0570

――住んでいる場所が離れていたりすると、おじいちゃん・おばあちゃんと孫でさえ会う機会は少なくなりますよね。
 
松本:そういう背景があって地域を見てみると、リタイヤして次の生きがいややりがいを探される中で、子どもと接したいと考えていらっしゃる高齢者の方がけっこう多いということもわかりました。地域でボランティアをしたいと思いながら、そのきっかけを見つけられない人も多いといいます。であれば、保育園に来ていただいて、子どもたちとの時間を持っていただくのもいいのではないかと思いました。子育てが一段落したお母さんたちも、次の活動の場を求めていたりする。
 
 また、中学生や高校生、大学生が子どもと接することにも意味があるような気がしています。これはフランスの例なのですが、ベビーシッターに若い世代を雇うことを政府が推奨して、それが実は少子化対策としてうまく機能したのではないかという指摘があります。つまり、まだ子どものいない若い世代がベビーシッターをすることによって、子どもをもつということのリアリティをもてるようになった。そのことによって、「子どもが欲しい」「子どもを育てながらでも働けそうだ」という感覚がもてて、子どもをもつ世帯が増えたのではないか、ということです。
 
 もっと若い世代の子どもたちに目を向けてみても、私が子どもの頃は、幼稚園や保育園に通う年頃の子どもたちが、地元の空き地や公園に集まって群れていました。そこには小学校に通う子どもたちもいたりして、異年齢のかかわりをもっていたわけです。そこにはいわば子ども社会があって、子どもならではの秩序感が養われる。上のお兄ちゃんに歯向かうと痛い目にあうとか(笑)、年下の子の面倒を見ることで自己肯定感が高まるとか。
 
 子どもというのは、年齢の近い子ども同士のかかわりの中から学ぶことがもっとも多いと言われています。そういう意味でも子ども同士のかかわり合いというのは大事な意味を持っているんです。

関連記事