住民の、住民による、住民のためのまちづくりをめざして
一関の中学生と植樹に取り組む岡本さん(写真提供:桜ライン311)
岡本翔馬さんのインタビュー第1回、第2回はこちら:
「誰もいないなら、自分がやるしかない」
「『地元から出ていた人間』の強みを生かして」
****************
桜ラインをまちの財産に
現在次々に植樹されている桜の木。この木が大きく成長する、10年後、50年後のまちの姿を、岡本さんは思い描いている。
「やっぱり、陸前高田市の財産になっていてほしいし、市民のみなさんに愛されていてほしい。1万7,000本の桜並木ができたら、必ず観光名所のひとつになっていくと思うし、それに伴う経済効果も期待できるはずです」
まちづくりに貢献する桜ラインに。そのためには住民や市役所などと連携をとっていかなければならない。そうした思いから、桜ライン311は、活動のもうひとつの柱に「政策提言」を掲げている。
「戸羽市長には団体設立の際からいろいろと相談させていただいています。まだようやく市役所の移転先が決まったばかりというような状況で、連携が具体的に動き出すのはこれからなんですけど」
市の復興計画がまとまらなければ、津波の到達地点が将来どのようになるかわからない。それでは、所有者も「ここに桜を植えていいよ」とは言いにくい。だからこそ、このタイミングで市とチャンネルができたことに手ごたえを感じている。
「九州出身で、東大を出て、都市計画の会社に勤めていた人が、市の都市計画課にいるんです。『被災地の都市計画をしないで、都市計画なんてやっていられない。俺らがいま行かなくてどうするんだ』っていうモチベーションで、震災後に市の職員になってくれたんです」
彼が手掛けている地域で「桜ラインの木を植えられないか」と連絡をもらい、その計画を詰めている最中だという。
「いちばん行政区の中では計画の進んでいる区域なんですけど、そこのまちづくりに桜ラインが関わることができれば、『ほかの地区でも』という話になるんじゃないかと。実際に桜を植えられることになったら、できれば市内の小・中学校の子どもたちに植樹に来てほしいですね」
ただ記憶にとどめるのではなく、市民によって守りつながれていくものにしていきたいという思いが、桜の木1本1本に込められている。