何としてでも、復興を成し遂げる

福島復興ソーラー・アグリ体験交流の会 半谷栄寿

南相馬ソーラー・アグリパーク
ソーラーパネルと植物工場

志だけでは事業はできない
 
 東芝と半谷さんが交わした覚書は「条件つきの契約」だった。設定された条件が満たされれば太陽光発電所を一緒につくろう、満たされなければ残念ながら支援にはいたらない、というものだ。
 
「ビジネスマンとして培ってきた経験からいって当然のことです。志が一致しても、事業の前提条件をクリアーできなければ事業としては成り立たないんです」
 
 東芝との間で結ばれた条件は、 ・再生エネルギーの買取価格、買取期間、買取条件等の確認 ・建設用地の確保 ・必要な資金の調達 の、3つだった。
 
「1つめの再生可能エネルギーの買い取りについては、当時すでに法律はできていましたが、価格や期間などの詳細な条件は未定でした。2つめの建設用地については、まったく緒にもついていない。3つめの資金については、計画していた500kWの太陽光発電所の建設には2億円が必要だと見込んでいました。そこに東芝さんが1億円の出資を用意してくださるとのことだったので、残りの1億円をなんとかしなければなりませんでした」
 
 期限は、2012年の7月末日。まだ、国では復興庁の設置にも至っていない。わずか8か月あまりの間に達成するのは、いまから考えても途方もないことのように思える。
 
「ソーシャルな思いをビジネスとして推進していくためには、やっぱりこういう課題を乗り越えていかなくてはならない。一つひとつクリアしていってはじめて、実際の事業というものは動き出すんです」
 
 無謀にも思える挑戦。だが、決してあきらめることなく実現を追い求めるところに、天の配剤がはたらく。

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