何としてでも、復興を成し遂げる
ソーラーパネルの前に立つ半谷さん
志で走り出す構想
半谷さんは「誰もが賛同する自然エネルギー」としての太陽光発電に焦点を定めた。ほんものの太陽光発電所をつくり、それを活用して体験学習を展開する。
「『福島復興ソーラー』という会社を、キッザニアと連携しながら立ち上げる構想を練りました。この案をキッザニアの住谷社長のところに持っていったところ、その場でご快諾いただけたんです」
震災から、わずか5か月。8月下旬には南相馬で住谷社長とともに記者会見を開き、翌年度中に南相馬に太陽光発電所をつくり、その中に子どもたちが職業体験学習をできる場をつくる構想を公にした。
「まだ資金も集まっていない、土地も確保できていない。構想をまとめて、すぐに、いわば宣言したわけです。これが小さなスタートでした」
この会見をきっかけに、いろいろな方々からの協力を得られるようになる。そのひとつが、「森の町内会」の活動に一緒に取り組んできた東芝からの支援だった。
「東芝さんにご相談に行ったのは9月でした。CSR部門の室長さんからは『やりましょう』と即答いただきました。社長さんのご内諾まで、とてもスピーディーに運んでいただいて」
東芝も、家電製品を被災地に送るなどの「ものの支援」からの転換を、ちょうど模索していた時期だった。そこに持ち込まれた半谷さんの事業構想が、東芝のめざす「しくみの支援」の、具体的なひとつ目の事業として評価されたのだった。
「志は大切ですよ。志がなければ事業はありえません。住谷さんの賛同も、東芝の佐々木社長(当時)の賛同も、同じ志があってこそですから」
東芝との間で正式に覚書が交わされたのは11月。だが、その内容は、単に支援の手をさしのべてくれるというものではなく、事業の継続性を厳しく求めるものだったという。