重なり合い、ひとつになる思い

NGOテラ・ルネッサンス 鬼丸昌也

写真右-3
トシャ・マギーさん(写真右)【写真提供:テラ・ルネッサンス】

「それで、あなたたちはなにをするの?」

 
 ブルンジ出身のトシャ・マギーさんは、国内紛争によって家族を全員殺された。ひとり難民キャンプに逃げ出し、大変な苦労をしながら英語を習得し仕事を得て、いまはウガンダでテラ・ルネッサンスの職員として働いている。壮絶な体験をしてきた彼女が、日本時間で3月12日になった頃、鬼丸さんに電話をしてきた。
 
「ウガンダでも津波の映像がBBCやCNNで流された。テラ・ルネッサンスの活動を支えてくれている優しい日本の人たちが、あんな目に遭っていることが信じられない」
 
 テラ・ルネッサンスの活動資金のうち7割は寄付や会費によるもの。それだけ、テラ・ルネッサンスの活動に思いを寄せ、活動を支えてくれている日本人がいることを、現地の職員はよく知っている。
 
「ウガンダ人の職員と、テラ・ルネッサンスのプログラムを卒業してビジネスをしている元子ども兵士の何名かで、日本の人たちのためになにができるか話し合った。募金をしようということになってお金を出し合ったら、半日で5万円集めることができた。このお金で毛布を買って被災地に送ってあげてほしい。きっと寒いと思うから」
 
 ウガンダは国家公務員の平均月給が8,000円の国。そのウガンダで、たった半日で5万円というから驚きだ。彼女は、さらにひと言つけ加えた。
 
「それで、あなたたちは何をするの?」

 
 この瞬間、「被災地支援をやるか、やらないか」という悩みは、鬼丸さんの心からすっと消えたという。
 
「支援というのは、豊かな人や権力がある人、時間が余っている人が、貧しかったり災害で大変な目に遭っている人に一方的に施すことではありません。支援する側もされる側も、その行為を通じて問題の原因を知るとともに、取り除くために共に立ち向かっていく。その学習のプロセスこそが、本当の支援だと思っています。そのことを、彼女たちにあらためて教えられました」
 
 ウガンダでのトシャ・マギーさんたちの行動と、その言葉が、鬼丸さんを支援の原点に立ち返らせた。

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