重なり合い、ひとつになる思い

NGOテラ・ルネッサンス 鬼丸昌也

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復興工事の続く陸前高田(2013.10.22撮影)

ご縁は必要なところにできる
 
 次なる課題は、どのようにやるか。ここから、つてをたどり、縁を広げ、絆へと紡いでいく鬼丸さんの本領が発揮される。
 
「現地の信頼を得ながらご縁をつくっていくというのはほんとうに大変だと、国際協力や海外支援の現場に立って痛感してきました。なので、できるところから始めようと思いました。ご縁というのは必要なところにできると信じていますので」
 
 まずは、テラ・ルネッサンスの支援者が北茨城市や高萩市に物資輸送を始めたと聞き、そのサポートを行った。そのうちに、岩手県出身の友人が任意団体「みんつな」を立ち上げ、現地で支援活動を始めたという情報を得る。
 
「被災地支援を始めるにあたって、やはり交通の便のいいところに支援やボランティアが集中するだろうと考えていました。新幹線や高速道路が通っているのは、仙台から北はずっと内陸部。沿岸部に出るには、そこからさらに2時間以上かかる。そうなると、人手や資金の集まり具合もずいぶん違うだろうなあ、と。そこで岩手の沿岸部の支援に舵をきりました」
 
「みんつな」経由の支援活動は、現地からのリクエストに応え、必要なものを調達して送るかたちをとった。だが、情報がなかなか届いてこない。そこで4月半ば、鬼丸さん自身が現地に向かった。
 
「陸前高田はとりわけ被災面積が大きくて、行政もほとんど機能していなくて。とても連絡調整機能が整えられるような状態ではありませんでした。情報が滞るのも無理はないな、と。これは現地に腰をすえて支援活動に取り組むしかないと思って、『みんつな』のメンバーが寝泊りしている陸前高田ドライビングスクールにお世話になることになりました」
 
 その陸前高田ドライビングスクールの田村社長、さらに被災地NGO協働センターから派遣されていた大槌町の末村参与の紹介で、「遠野まごころネット」の多田一彦さんを紹介される。
 
「まごころネットさんは、岩手県の内陸部と被害の甚大だった沿岸部のちょうど中間に位置する遠野の地の利を生かして、ボランティアや物資を受け入れて現地へと送り込む、支援のハブの役割を担っていました。その配送担当として、テラ・ルネッサンスの職員を1か月間派遣することになったんです」
 
 5月の連休明けに派遣されたテラ・ルネッサンスのスタッフ。そのひとりが、「刺し子プロジェクト」立ち上げのキーマンとなる、吉野さんだった。

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