社会保障の視点からライフスタイルを問い直す

PHP総研コンサルティングフェロー・関西学院大学経済学部教授 上村敏之

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◆自立しつつ助け合えるコミュニティ
 
 それには、住宅のあり方から考え直す必要もある。たとえば現在、シェアハウスと呼ばれる共同住宅ができつつあるが、他人同士が共同生活を送れる住宅をつくることを提案したい。各人にそれぞれ部屋を用意しつつ、台所やリビングのようなユーティリティ設備は共同のものにし、住民になにかあったらお互いにすぐに訪問できるようなかたちにする。「自助」、「共助」、「公助」という観点からみれば、すぐに「公助」に頼らず、「共助」から住まいやコミュニティのあり方を工夫してつくるということである。そして、この時に重要なのは、こうした住まいづくりやまちづくりが、民間のビジネスとして成立できるよう、政府が政策的にうまく誘導することである。
 
 そのためには、地方分権をさらに進めていく必要がある。社会保障サービスは日本国内のどこに住んでいても、等しく得られるべきものであり、基本的な部分においては、全国一律の制度によって、国が国民に等しく提供していくべきものであろう。しかし、「共助」の「まちづくり」には、地域それぞれ固有の特性に合わせて、地方自治体が独自に展開していくほうが効果的である。その意味において、地方分権、さらに進んで道州制といったかたちで、国から地方への権限移譲を行うことを検討していかなければならない。

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