道州制の実現には「本気」の取り組みが欠かせない

政策シンクタンクPHP総研 主席研究員 荒田英知

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永久:道州制に向けたモチベーションやインセンティブをどうつくるか。
 
荒田:政令指定都市が5つから20に増えた。政令市クラスになると自らの行政能力に自信を持っている。静岡県には浜松市と静岡市の2つの政令市があるが、県の仕事も自分たちで引き受けると声をあげ、県知事も理解を示している。基礎自治体の充実が道州制を後押しする面がある。
 
宮島:テレビで道州制を扱う時には、損得は大きな関心事になる。しかし、「何をしてくれるか」ではなく「自分たちで何をするか」が道州制。だから一般的な具体例というよりも、地域によって答えが違うのだと思う。依存でなく自分たちでやるという姿勢を持てるかが、道州制実現の鍵を握るが、楽観はできない。
 
藤村:松沢さんは道州を5つか6つと仰ったが、6つならJRになる。私は道州制では大都市が核になると考えており、東京に対抗して横浜、名古屋、大阪などが復活できるかがポイントである。横浜市と清川村が同じ基礎自治体という話もあったが、私は中学校区をコミュニティの意思決定単位として捉えている。大都市を起点に道州への道すじを考えてはどうか。
 
道州制の実現には「本気度」が問われる
 
会場(4):知事が抵抗勢力との発言があったが、国会議員こそ抵抗勢力なのではないか。
 
松沢:道州制の法律を決めるのは国会だから、国会議員の責任は重い。私は小さな野党にいるので、やはり与党に本気になってもらわないといけない。議員生活の長い議員はどうしても霞が関官僚と上手くやっていくということになりがち。安倍総理にとっても、道州制は5番目6番目のテーマなのではないか。
 
永久:国会議員は、国の将来に対してビジョンを示すのが本来の仕事なはずでは。
 
松沢:選挙民が支持する政策は積極的に進めるが、道州制という統治機構の話題にはほとんど関心がない。唯一の例外が、大阪都構想で支持を集めた橋下市長。カリスマ政治家の出現を待つか、国民運動を盛り上げていくか、道州制にはいずれかが必要。
 
永久:「変える力」はそうした運動の起点になればとスタートした。
 
会場(5):経済界で道州制を推進する立場にあるが、国民的な論議を盛り上げるにはどうようなアプローチが効果的か示唆をもらいたい。
 
永久:道州制を提言している団体は複数あるが、相互の連携が不足しているのではないか。
 
荒田:ぜひ一緒にやらせて頂いて、それをメディアに取り上げて頂ければありがたい。最後に「魚ではなく釣竿を与えよ」という言葉を紹介しておきたい。沖縄振興に関して、補助金よりも自立するための道具をという意味。その究極が道州制である。

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