高速道路の料金体系はいかにあるべきか
―無料化・上限制よりも地域に応じた弾力的な料金設定を―

松野由希 (政策シンクタンク PHP総研 政治経済研究センター特任研究員)

Talking Points

  • 高速走行の便益を享受する高速道路利用者は、利用距離に応じた対価を支払うことが基本である。この点からは、無料化も上限料金制も妥当性を欠く。
  • 高速道路の有効活用という観点からは、全国一律の料金体系でなく、現行の料金水準を基本としつつ、地域の状況に応じた弾力的な料金設定を行うべきである。つまり、実際の交通量が交通容量よりも下回る場合には料金の引き下げ(割引)を、上回る場合には料金の引き上げ(割増)を行うということである。
  • 料金の割引に一定の意義が認められるとはいえ、無料化社会実験の結果を踏まえて、渋滞や公共交通への影響を考慮し、継続を認めてもよい区間と見直しをすべき区間の見極めが求められる。この点について評価を行ったところ、見直しをすべき区間は、50区間中38区間に上る。
  • 地域の実態を踏まえた割引がなされるよう、料金の決定には、地域の実情を把握している地元自治体などの参画が不可欠である。それとともに、局地的便益を受ける地域は応分の負担をすべきである。
  • 割引財源をどの程度確保できるかは、整備のための財源との兼ね合いで導かれる。総合的な交通体系をどのように構築していくかという観点から、高速道路の利用と整備のあり方を考え、そのもとで適切な高速道路料金のあり方を決定していくことが望まれる。
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