東日本大震災後の電力政策に関する4つの視点

宮下量久 (政策シンクタンク PHP総研 政治経済研究センター研究員)

Talking Points

  • 政府がまとめた原発事故の賠償スキームでは、国民負担について「極小化」というあいまいな表現が適用されている。仮に放射能被害がさらに深刻化した場合、政府は国民に追加の経済的負担を強いることになる。国は賠償問題における自らの責任を明示するべきである。
  • 福島第一原発の事故原因の解明や安全基準の見直しでは、中立的かつ客観的評価を行うため、徹底した透明性の確保が必要である。また、原子力政策の責任の所在を明確にするように、政府の所管省庁や部局を再編するとともに、地方自治体における体制を強化することは急務である。
  • 発電源の分散化と多様化を目指すならば、政府は各再生可能エネルギーによる発電を偏重なく促進することが望ましい。また、再生可能エネルギー買取制度は、電力市場の価格メカニズムを歪める恐れがあるため、電力の利用状況と料金の関係を利用者が的確に把握できるよう、スマートグリッドの整備が必要不可欠である。
  • 福島第一原発の賠償問題の収束後、電力供給体制の持続可能性を担保するため、電力事業における発送電分離の実現が望まれる。その際、送電事業については各地域の送電網を維持するため、ユニバーサルサービスファンドの創設が検討されるべきである。
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