教育委員会廃止を提案する
―政治的中立性をいかに確保するか―

亀田徹 (政策シンクタンク PHP総研 主席研究員・教育マネジメント研究センター長)

Talking Points

  • 教育委員会制度の趣旨は、(1)政治的中立性の確保、(2)継続性・安定性の確保、(3)地域住民の意向の反映と説明される。
    このうちとくに議論が必要となるのは、政治的中立性の確保だ。政治的中立性が教育委員会制度の趣旨に含まれるようになったのは、旧制度から新制度への移行時であった。
  • 「教育行政の中立性」が必要とされるのは、「教育活動の中立性」の確保のためである。「教育活動の中立性」の確保とは、社会通念の範囲を逸脱した政治教育の実施を防止するということだ。
  • ではどうすれば逸脱を防止できるか。教育委員の任命制という行政組織の内部構造がもたらす間接的な防止効果に期待するよりも、学校現場での授業内容を直接チェックすることによって防止すべきである。そのほうが実際的であり、確実であるからだ。
  • 教育委員会制度の大きな問題は、行政の権限と責任が分散していることだ。教育行政の権限と責任を首長に集約すべきと考える。教育委員会廃止の目的は、いうまでもなく教育行政機能のさらなる充実だ。
  • 教育委員会を廃止した後、政治的中立性が確保されているかどうかを判断するのは、保護者である。保護者は、子どもを通じて日常の授業の様子を把握するとともに教材を確認し、可能な範囲で定期的に授業を観察する。このようなシステムを導入することで、これまで以上に実態にそくした中立性のチェックが可能になるはずだ。
policy_v6_n53

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