首長の経営方針に基づいた 地域経営の確立に向けて <2>
―マニフェストと総合計画をいかに調整するか―
Talking Points
- 本稿は「首長の経営方針に基づいた地域経営の確立に向けて〈1〉-マニフェストと総合計画の連動モデルとは-」の後編である。前編では地域経営時代におけるマニフェストと総合計画のあるべき連動モデルを提示したのに対し、本編では、そのモデルを念頭に置きながら、首長の当選後、スムースに両者を調整するための実践的な知見を提供することを目指す。
- マニフェストと総合計画をスムースに調整するためには、まず事前に、首長・自治体職員が調整プロセスの全体像について、認識を共有しておく必要がある。
- 調整の全体像を把握するためには、以下の4つのポイントを理解する必要がある。
(1) 初年度からマニフェストを実行するための調整
(2) 選挙が実施されるタイミング(年・月)による対応
(3) 財政・行政評価との調整
(4) 議会の議決レベルに応じた対応 - マニフェストと総合計画の具体的な調整方針は自治体によって異なる。選挙のタイミング(年・月)がまちまちだからである。そこで、調整のあり方を「改訂」「修正」「落とし込み」の3つに区分した上で、選挙のタイミング別の調整方針を示す。
- 以上の議論を踏まえ、両者の調整をスムースに行うための5つのポイントを提示する。
(1) 選挙日程が決まるタイミングを目途に、総合計画の評価結果を公表する
(2) 総合計画をどのようにリ・デザインするのかをマニフェストで示す
(3) 首長マニフェストでは目的と具体策をセットで示す
(4) マニフェストを施策レベル以上に明確に位置づけてから、総合計画の改訂を行う
(5) マニフェストと予算の調整に施策評価を活用する