国家安全保障会議 創設10年
― PHP総研特設サイト―

日本の外交・安全保障政策の司令塔である国家安全保障会議(NSC)が創設されて2023年12月で10年を迎えました。2024年1月には常設的な補佐部局としてNSCを支える国家安全保障局(NSS)の発足から10年になります。

この10年の間にも、中国の台頭などによるグローバル、リージョナルなパワーバランスの変化、トランプ政権以降の米国の変質と不確実性増大、ロシア-ウクライナ戦争やイスラエル-ハマス戦争の勃発と、日本は様々な国際危機や戦略環境の変容に直面してきました。NSC/NSSが創設されたことにより、外交と防衛の連接や政府内の安保情報の共有が進み、国家安全保障にかかわる大局的で省庁横断的な意思決定が官邸主導で行われるようになるなど、日本がこの歴史的な転換期に適応する礎が築かれたと言えるでしょう。

これまでに安倍氏、菅氏、岸田氏と3人の首相がNSCを率いており、事務方のNSSトップである国家安全保障局長も谷内氏、北村氏、秋葉氏と3代目に入っています。制度面でも平和安全法制の制定、経済班の設置、コロナ下での緊急事態大臣会合の開催、3文書の制定といった節目がありました。いかなる組織や制度も完全ではありえませんし、内外の環境や誰がリーダーであるかによっても運用は大きく左右されます。状況変化に応じて絶えず見直しをはかっていくことも必要であり、NSC/NSSについても例外ではありえません。

NSC/NSSの実績を評価し、今後のあるべき姿を考えていく上では、実態をふまえた検討が不可欠です。政策シンクタンクPHP総研が2015年11月に発表した提言報告書『国家安全保障会議-評価と提言』は、関係者へのヒアリングにもとづいてNSC/NSSの実態を包括的に解明した点で、今に至るまでほとんど類例がないものです。あらためて同提言報告書を、この10年を振り返り、今後の望ましいあり方を考える上での参考にしていただければありがたく存じます。

その他にも政策シンクタンクPHP総研では、『Voice』誌上において歴代国家安全保障局長(谷内氏、北村氏)へのインタビューや初代国家安全保障局次長(高見澤氏、兼原氏)の対談を企画してまいりました。NSC創設10周年にあたり、関連する提言報告書や論考、『Voice』誌記事をまとめ、本特設サイトを開設します。国家安全保障会議の創設から10年間の活動を総括し、その成果と課題を深く理解するための一助となりましたら幸いです。

掲載一覧

※発表日時の新しいものから順に掲載しています

※ 肩書は、発表時のものです

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