カンボジアの支援終了とコミュニティファクトリーの独立

かものはしプロジェクト 共同代表 青木健太 (聞き手:PHP総研 山田花菜)

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――そんな中かものはしプロジェクトとしては、2017年度末をもって、団体創設当初から続けてきたカンボジアでの活動終了を決断されたそうですね。さまざまな調査の結果、活動の成果もあり、カンボジアにおける児童買春の課題は解決しそうだと思われたからということですが、青木さんもコミュニティファクトリー事業ごとかものはしプロジェクトから卒業し、独立されると伺っています。かものはしプロジェクトに残って、違う地域で児童買春の課題の解決に取り組むという選択肢もあったと思いますが、卒業と独立という道を選ばれた思いを伺えますか?
 
青木:僕はカンボジアに行って8年になるんですけど、自分のライフミッションが見えて来た、やってみたいことができてきたということがいちばん大きなポイントです。
 カンボジアそのものが好きだということはもちろんあるんですけど、女性たちがライフスキルを身につけて、エンパワーメントされていく。いきいきと自分の未来を語り始める。そうやって人が変わっていくシーンを見ることが好きなので、そういうことに自分の人生を使っていきたいと決めたんです。
 コミュニティファクトリー事業は、僕のやりたいこととかものはしプロジェクトのやりたいことが一致していた事業だったんです。児童売買春の予防にもなっていたし、人々のエンパワーメントの場にもなっていたと。
 「かものはしとしてはコミュニティファクトリー事業を閉じ、カンボジア支援を終了します」ということになったとき、僕の選択肢は、インド事業の駐在員や日本本部での資金調達担当をはじめいろいろなものがあったんですが、自分のライフミッションを追求するかたちで、カンボジアに残る問題を解決していきたいと思ったんです。けっこう悩みましたけどね。1年くらいかけて考えて、決断しました。

――青木さんのライフミッションとは、どのようなものですか?
 
青木:僕がすごく大事にしているのは、自分の人生や意思決定を、本当に素直に自然に、いきいきとできるかということ。毎日ワクワクしているかということ。
 コミュニティファクトリーの女性たちや社会的弱者だった人たちが、安心・安全をまず手に入れて、その中でものを考えたり決めたりする力、ライフスキルを身につけて、自分で人生を切り拓いていくということに前向きになっている、ワクワクしているという姿を、死ぬまでに一人でも多く見るということが夢です。
 
――現在のコミュニティファクトリー事業についてもいろいろやってみたいことがあってしばらくはフルコミットされるということだと思いますが、今後たとえば、カンボジアの中で違うお仕事をされるであるとか、カンボジアとは違う地域で、同じような活動をされるということもあるのでしょうか。
 
青木:おっしゃる通りで、新規事業の開発も進めていたりとか、ほかの国に行くということも、ビジョンとしては持っています。
 
――基本的には貧困国を対象に?
 
青木:僕の中ではその辺りをターゲットにしています。安心・安全の確保やライフスキルが課題になるのは、やっぱり貧困国が多いので。
 でもやればやるほど、かかわればかかわるほど、実はユニバーサルな問題で、たとえば僕がやっているライフスキルトレーニングは、育て上げネットの工藤さんが取り組んでいる問題と、オーバーラップする部分が多分にあるんですね。シチュエーションとかターゲットが置かれている状況は多少違いますけど、起こしたい変化はかなり似通っているところがあって、そういう意味ではそうした日本国内の活動から学ぶ部分も本当に多いです。
 「途上国でしかやりません」とか「アジアでしかやりません」なんて言うつもりはないんですけど、いまは東南アジアにご縁があるので、その辺りからやりたいなあとは思っています。

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