小学校4年生から39歳まで支え続ける

認定NPO法人 育て上げネット 工藤啓 (聞き手:PHP総研 山田花菜)

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工藤さんのインタビュー第1回はこちら:「ビジネスとして若者支援に取り組みたい
 
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――行政との連携事業である地域若者サポートステーションでも就労訓練などに取り組まれていると思いますが、サポートステーションとジョブトレはどのように違うのですか? また、ハローワークとも違うのでしょうか。
 
工藤:地域若者サポートステーションは15~39歳の若者を対象とした厚生労働省の委託事業で、全国に160か所の施設があります。私たち育て上げネットはそのうちの5か所を運営しているのですが、まずハローワークとの棲み分けでいちばん大きいのは、ハローワークは職業紹介をしているところです。サポートステーションはこれから就職活動をしていこうとしている若者が対象です。すぐに職につきたい、つけるという人はハローワーク、何から始めたらいいのかわからないけれど、働くという方向に進みたいという人たちは、サポートステーション。
 サポートステーションは総合相談窓口という立てつけなので、たとえば病院で、具合が悪いんだけど、どの科に行けばいいのかわからないというときに、「お腹が痛いのですが、どの科に行けばいいですか」と相談できる総合診療科のようなイメージです。そこで状況を聞いて、「それなら内科に行ってください」「消化器科に行ってください」と伝える役割ですね。
 また、サポートステーションは単年度型の委託事業で、ジョブトレは育て上げネットの自主事業です。行政の事業は、対象者は無料で利用できます。一方、国が作成した仕様書に基づく事業ですので、事業内容と予算使途が決まっています。そのため、個々の若者に応じて自由に、柔軟にサービスを作ることはできません。
 たとえば、現在無業状態のA君が仕事に就くために解決すべき課題があるとすれば、その解決のために何でもやりたい。しかし、それが仕様書に書かれていないものであればできません。その場合は、サポートステーションではなく、そのサービスを行っている公的機関などと連携をして支援を行うことになります。
極端な例えですが、遊園地で一日楽しんだら、その間にコミュニケーションをとったり、悩みを聞いたりして翌日には就職活動に迎えそうな若者がいたとしたとしても、仕様書にそれが許されていなければできません。遊園地は極端ですが仕様書に基づくというのはそういうことです。ジョブトレは、そういう仕様書のもとでやるわけではありませんので遊園地に行くことが必須であれば行くことはできます。
 ただ、ひとつのNPOが提供できる範囲や支援できる人数は限られていますので、しっかりと行政と連携することで支援提供範囲を広げていきたいと考え、受託運営しています。

――行政の事業でアプローチできる分はして、そこにはまらない場合は育て上げネットのジョブトレで、というイメージでしょうか。
 
工藤:育て上げネットでもいいし、うち以外でも同じような支援に取り組んでいる団体をご紹介することもあります。
 
――ほかの団体さんだと、たとえばどんなところがありますか?
 
工藤:それぞれが提供するサービスは異なりますが、侍学園スクオーラ・今人(長野県)、スチューデントサポート・フェイス(佐賀県)、青少年自立援助センター(東京)、そのほか、全国に点在しています。もちろん、民間だけではなく、「それだったら法テラスはいかがですか」「この機関のこのサポートなら無料で受けられますよ」というように、公的機関を紹介することも多々あります。

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