仕事と社会をつないで、忘れていた熱さと志を取り戻す「留職」プログラム

NPO法人クロスフィールズ 代表 小沼大地

20150330集合写真
(写真提供:クロスフィールズ)

――これまでの実績では、留職されたのは30代の方が多いようですね。
 
小沼:そうですね、入社5年目から15年目くらいの方に参加していただくことが多いです。マネージャーの一歩手前くらい、これから管理職などの役職に就いていくポジションの方ですね。
 
 逆に新入社員とか、入社から1、2年目の方の留職は、あまり受けていません。理由は、このプログラムは現地に貢献できることが前提となっているからです。現地への貢献という観点から、主な派遣者は入社5~15年目くらいの、技術でも営業でも、何かしらの専門性を身につけている人材です。現地に貢献することで人は育つし、人が育つくらいの経験だからこそ現地への貢献にもなれる、と僕らは考えています。
 
――活動開始以来、人材育成プログラムとして高く評価され、現在では20社ほどが導入しているということですが、大手メーカーが多いような印象を受けます。
 
小沼:最初の事例がパナソニックさんだったこともあり、留職プログラムの提供開始当初はたしかにメーカーからのお問い合わせが多かったですね。ですが、最近ではそうでもなくなってきていて、リクルートさん、博報堂さんといったサービス系の企業でも導入していただいています。決して、ものづくりの技術を持っていないと参加できないプログラムということではありません。
 
 本当にありがたいことに、いまのところ、一度導入してくださった企業のほとんどがリピーターになってくださっています。留職の意義や効果に半信半疑だった場合でも、実際にやってみると、「確実にここに未来がある」と感じてくださる企業が多いということだと思います。
 
――留職プログラムの導入のきっかけは、クロスフィールズと企業、どちらからのアプローチが多いですか?
 
小沼:電話でアポイントメントをとって、留職プログラムを売り込みに行く、というような営業活動は一切やったことがありません。そういうことはやっても全く反応がないと思っていて、NPOっぽいといえばNPOっぽいアプローチをしています。
 
 講演をしたり、メディアに取り上げていただいたりする中で、「こんなビジョンを実現したい」「こんな活動をしていきたい」ということを表現して、それに共感してくださった方が企業の人事部に掛け合ってくださったり、というケースが多いんです。そうやって活動伝道師のような役割を担ってくださる方を、クロスフィールズでは“チャンピオン”と呼んでいます。チャンピオンには「優勝者」という意味のほかに、「ある考えを擁護する」とか「ともに闘う闘士」という意味があるんです。
 
 そうしたクロスフィールズのビジョンに賛同してくださるチャンピオンの皆さんに、ある種営業マンになっていただくようなかたちで活動しているという感じです。

関連記事