「よさそうなこと」ではなく「本当に変わること」を

NPOマネジメントラボ 代表 山元圭太

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ミッションからのストーリーが描けているか
 
 山元さんが行っているマネジメント支援の中身は、3つに大別される。
 
「ひとつはNPOの経営戦略全般。経営戦略を10のステップに分けて一緒に立案し、実行、適切な更新ができるまでお手伝いをします。ふたつめはファンドレイジング。具体的に資金調達の成果を上げていくお手伝い。3つめは人材。採用戦略やクレドの作成、ボランティアマネジメントといったヒューマン・リソースのマネジメントのお手伝いです」
 
 はじめからこれら3つに分けてメニューを用意していたわけではないが、クライアントのさまざまな個別ニーズにこたえているうちに、ほとんどの課題がその3つに集約されていった。
 
「顕在化しやすいのは、やっぱりお金と人の問題ですね。最初はどちらかの課題について声を掛けていただくことが多いんですが、いちばん多いのはやっぱりファンドレイジング」
 
 ファンドレイジングは、ポイントを押さえながらその団体が行っていることを整えていくことで、比較的成果があがりやすい。だが、山元さんの本領発揮はここからだ。
 
「成果が出てきたら、『これをさらに伸ばしていくにはどうするか』『そもそも、この資金はなんのために調達するのか』と踏み込んだ話をさせてもらえるようになってきます。そうすると、そもそも取り組む社会問題の構造分析が十分にできていないとか、ミッション達成のための仮説がないとか、成果が定義できていないとか、その活動のためにはこの金額でほんとうに足りるのかとか、逆に集め過ぎじゃないのかとか、いろんな課題が見えてきます」
 
 洗い出された課題について、ファンドレイジング支援と並行して戦略を整えていくと、ファンドレイジングの成果もさらに上がる。
 
「それはそうですよね。寄付を集める側の腑に落ちる度合が全然違いますから、寄付を呼びかけるときの思いのかけ方も違ってくるんですよ。そうすると、資金調達の成果があがるだけでなく、人材が定着しやすくもなります。自分たちが日々なんのためにがんばっているのかも共有できるので、一体感も強くなります」
 
 人の問題もお金の問題も、結局はミッションからのストーリーが描けていないことが問題の本質である場合が多い。しかし、それは組織にとっていちばん触れられたくない部分であり、最初からその部分に言及しても、なかなか聞き入れてはもらえない。
 
「だからまずは、ファンドレイジングやヒューマン・リソースのお手伝いから入って、関係構築ができてから、一緒に本質的な部分の整理をし直していって、さらにファンドレイジングやヒューマン・リソースの部分の成果を伸ばしていく、っていうパターンになりがちです」

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