受けたい教育を選べるしくみに
不登校の子を持つ親の方へ
奥地さんが目指しているのは、受けたい教育を子どもや親が選べる社会だ。
「いまある学校のしくみは、枠が固すぎる。いろんな子どもがいるんだから、教育も合わせて多様になってほしいんです。学校の中身を多様にするだけでなく、やっぱり学校外の枠組みをつくらなくてはいけないと思います」
いまある学校のしくみをやわらかく多様化しつつ、フリースクールやホームエデュケーションを学校と対等な教育の場として共存させ、それぞれの子どもに合ったものを選べる社会に。学校の枠組みの柔軟化とオルタナティブな教育機関の充実に、両方から働きかけている。
「単一な教育のあり方しかないんじゃなくて、いろいろあって選べるほうが、豊かで強い社会になれると思うんです」
最後に、いま不登校の子どもをもつ親の方へのメッセージをうかがった。
「苦しいときには、親の責任や役割を果たそうという観念からちょっと距離を置いたほうがいいと思います。子どもが学校へ行かなかったり、勉強に力が入らなかったりすることに親が責任を感じていると、子どもはプレッシャーに感じてますます苦しみます。描いたあるべき理想の姿に子どもをあてはめようとするんじゃなくて、ありのままの子どもを受け入れて、子どもとともに、やっていってください。ほんとうに困ったら、親の会に来てくださいね。きっと力になれると思います」
奥地圭子(おくちけいこ)*1941年東京生まれ、広島育ち。横浜国立大学卒業後、22年にわたり公立小学校の教師を務める。1984年に「登校拒否を考える会」通称「親の会」を立ち上げ、翌1985年に教師を退職、東京シューレを立ち上げる。
【取材・構成:亀田徹(PHP総研)】
【写真:shu tokonami】