景気悪化を避けるために、家計の消費を支えよ

PHP総研コンサルティングフェロー・嘉悦大学教授 跡田直澄

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財政再建に向けてまずはデフレ脱却を
 
 以上見てきたように、来年4月の消費税増税が日本経済にマイナスの影響を与えることは疑いようもなく、また現状実施予定の景気対策では効果はあまり期待できない。繰り返しになるが、もっとも大きな効果を期待できる対策は現金給付額を増額することである。補正予算に上げられている復興事業の1.3兆円とインフラ老朽化対策の2兆円、合計3.3兆円の支出を個人への給付に回せば、消費税増税の悪影響は避けられる。
 
 復興事業や復興特別法人税廃止の補填分などは、来年度の本予算で行なうべきことであり、今年度の補正予算に組み込む必要はない。財務省が補正予算での実施にこだわるのは、この経済対策にかかる5兆円の歳出は今年度限りで断ち切り、来年度の本予算への影響を避けたいという思惑があるためであろう。そうであるならば、もう少し内容を練って経済的に効果のある対策を打つべきである。それによって、景気が順調に回復していけば、少なくとも来年度の補正予算に経済対策の議論は出てこないはずだ。
 
 膨張し続ける社会保障費の改革も必要だが、まずは補正予算でやるべき景気対策と来年の本予算でやるべき政策をいっそう効果的になるよう見直し、デフレ脱却に努めなければ、骨太の方針に組み込まれているような、2020年までの財政黒字化は実現不可能である。

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