道州制基本法案を臨時国会で徹底審議せよ
また、道州制ビジョン懇談会は2009年の政権交代後に廃止され、最終報告をまとめることはできなかった。しかし、政策シンクタンクPHP総研では、最終報告での論点として想定されていた、「道州制基本法」、「道州制における税財政制度」、「道州の区割り案」等について独自に検討を重ね、『地域主権型道州制 国民への報告書』と題する書籍に取りまとめている。道州制論議がリスタートするこの時期に参考となるであろう。
道州制推進知事・指定都市市長連合の発足
全国知事会は7月に開いた全国知事会議で「道州制の基本法案について」と題して考え方をまとめている。ここでは、「道州制の理念や姿を具体的かつ明確に示すこと」や「道州制は中央集権を打破し、地方分権を推進するものであることを明確に示すこと」を求めている。しかしながら、基本法案に対する全国知事会としての賛否は取りまとめに至らず、知事会の中にも温度差があることを浮き彫りにした。
これまでも、全国知事会は道州制を重要な検討テーマとしてきたが、知事の認識によって「推進」「消極」「保留」などの立場に別れてしまい、全国知事会としての共通見解を持つには至らなかった。今回もそれが繰り返されたことになる。
そうした中、2012年に石井正弘・岡山県知事(当時)の呼びかけで発足したのが、「道州制推進知事・指定都市市長連合」である。地方の側から国民的な議論を喚起し、政府・政党を動かすことで分権型の道州制を導入する道筋をつけるための推進母体として、知事8名、指定都市市長15名が参画した。現在は、村井嘉浩・宮城県知事と橋下徹・大阪市長が共同代表を務めている。
これまでに、道州制ビジョン懇談会の中間報告をふまえた「地域主権型道州制の基本的な制度設計と実現に向けた工程」、道州制導入の具体的な効果を例示した「地域主権型道州制導入の効果」、道州制における基礎自治体の水平補完、垂直補完や大都市のありかたをまとめた「地方分権型の道州制における基礎自治体のあり方に関する考え方」を公表し、推進連合としての考え方を示している。