政治の分岐点で有権者が判断すべきこととは

政策シンクタンクPHP総研 研究主幹 永久寿夫

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<TPP> あらためて国民の信任を得て最善をつくす
 
 開放的でルールに基づいた経済秩序を日米が共同してつくりだすという戦略的視座に立って、TPPに参加していく必要がある。TPPが日本経済の発展に寄与しないのでは意味がなく、交渉の場で自国の利益が反映されるように最善をつくしつつ、国内でも規制改革等を通じてこの機会を生かさなければならない。また、与党はTPP参加方針を明示して、あらためて国民の信任を得る必要がある。TPP問題で党内分裂の動きを封じる上でも、政権獲得後の姿勢の変化に対して有権者の事後承認を得る上でも、このプロセスは不可欠である。
 
<規制改革> 確実に実行するしくみをつくる
 
 規制改革でまず転換されるべきは、規制の根拠となる法制度の基本概念である。例えば、雇用では、日本の「正社員」の定義が雇用に硬直性をもたらし、結果として正社員の雇用総量の縮小を招いている。また、既得権者の抵抗により抜本的な見直しには至っていない規制、改革案が定まっているにもかかわらず政治的思惑や指導力の欠如により先送りされてきた規制の改革を進めなければならない。さらに、規制が新設される際には定期的見直しが義務化されているが、要件や点検体制が明確でなかったり、古い規制の中には義務化されていないものも多く、これらを自律的かつ効果的に見直しする体制の確立が求められる。
 
<社会資本整備>「つくる」から「活かす」へ大転換する
 
 現在、自治体は道路の9割、トンネルの5割、上下水道の9割を管理しているが、老朽化対策に効果的な対策を打てないでいる。その最大の理由は、財源不足である。現有施設を維持更新するには、年間約8~10兆円もの資金が今後50年ほど必要とも言われている。国と自治体には、老朽化した公共施設の維持管理・更新投資を優先し、新規投資を後回しにするという新しい公共事業の発想が求められている。

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