政治の分岐点で有権者が判断すべきこととは

政策シンクタンクPHP総研 研究主幹 永久寿夫

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 例えば、経済財政諮問会議、日本経済再生本部および産業競争力会議は、民主党政権の国家戦略会議や新成長戦略会議に替わるものだが、司令塔としての機能が強化され名実ともに安倍内閣の中核に位置づけられている。民間有識者の発言を借りつつ、政権としての発信力強化をはかっているのも特徴的だ。また、行政刷新会議は廃止されたが、行政事業レビューや規制改革といった民主党時代でも高く評価されたものは、行政改革推進本部・行政改革推進会議(以前は行政改革実行本部、行政刷新会議)、規制改革会議(以前の規制・制度改革委員会)、農林水産業・地域の活力創造本部(以前は食と農林漁業の再生推進本部)によって踏襲されている。安倍内閣の半年間は、政治家個人の能力と組織の活性化によって、堅実な政権運営が行われていると評価できる。
 
2.2013参議院選挙の争点
 
 第二次安倍政権は、これまでのところ内政・外交ともに安定的な運営を行い、一定の成果を上げていると評価できるが、その一方で越えるべき課題をいくつも抱えている。そうした状況の中で、参院選では何が問われなければならないのだろうか。
 
<社会保障> 持続させるための将来像を描く
 
 日本の社会保障には、「中福祉・低負担」を維持するために、将来世代への借金である赤字国債の収入を含む公費が使われている。現在の社会保障と税の一体改革の寿命は短く、消費税率10%への引き上げ程度では、膨脹する社会保障費を賄うことはできない。社会保障を持続可能にするためには、受益と負担が一致する制度を確立しなくてはならない。社会保障制度改革国民会議の報告書が発表されるまで議論は本格化しない可能性はあるが、少なくとも将来の社会保障制度のあり方について大きな方向性が示されるべきである。

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