ソーシャル・キャピタルが復興を確かなものに

藤沢烈(RCF復興支援チーム代表理事)×熊谷哲(PHP総研主席研究員)

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藤沢烈氏(RCF復興支援チーム代表理事)

ふたば未来学園という希望
 
熊谷 将来を見据えてということでは、双葉郡に中高一貫校がつくられると、そこに藤沢さんが関わっているとお聞きしました。
 
藤沢 今年の4月にふたば未来学園高校という校名で、まずは高校がいわき市に近い広野町に設立されます。AKB48の制服をつくられた方にデザインしていただいて、かわいい制服で話題になったりもしています。県と双葉郡8町村で一緒になって企画を進めていて、双葉郡8町村側の事務局に私たちのスタッフが2名入ってお手伝いしていました。
 
熊谷 先ほどお話しした再生可能エネルギーの収益活用プランのひとつに、この中高一貫校に寄附するという提案があったんです。制度的な課題などがあって現状は見送られているのですが、かたちにできたら良いプロジェクトになると思っています。
 
藤沢 それはありがたい話です。双葉郡8町村と一緒に動いている中で、いろんな民間企業から拠出していただく資金的なバックグラウンドのもとで、法人格をもって運営していこうというプランがあるんです。そこに、そういうアイデアも取り入れていけたら面白いですね。
 
熊谷 避難先の学校に通う期間も相当長くなりました。もう避難先の学校や環境になじんでしまった子どもさんは、やはり多いのでしょうか。
 
藤沢 多いですね。
 
熊谷 もとの学校よりは、今の学校や地域の方がいいのではないかと考えている親御さんが、かなりの確度でいらっしゃるという話も聞きます。そういう方々に戻ってきてもらえるような魅力的なカリキュラムやプログラムなど、藤沢さんならではのネットワークや経験を生かして、今までなら経験できなかったような機会を提供することをきっと準備されているのではないかと期待しているのですが。
 
藤沢 まさに復興すること自体が教育だと思っているのですね。入学予定の彼ら、彼女らは、課外授業でもかなり復興に関わると思います。そこで外部から来られる方にもつながるでしょうし、海外ともつながるでしょうし、いい経験を積んでいけるはずです。
 
熊谷 その辺りの熱意や努力が、帰還のきっかけとなるといいですよね。
 
藤沢 120人定員だったところ150人以上の応募があって、定員数を増やしたんですよ。関係者は定員割れしないか、というのが悩みというか、心配の絶えなかった点でしたから、そこは一安心という感じです。
 
熊谷 総合的にいい芽が育って、他の高校などにもふたば未来学園高校をモデルにした取り組みがどんどん広がっていって欲しい。
 
藤沢 今の中学生、高校生ぐらいの子どもたちが20年後、30年後の東北を引っ張ることになります。そういった層に、どのように復興に関わってもらうのかというのが、復興の一番大きな課題といっても過言じゃないと思います。
 
熊谷 その意味でも、やはりここの生徒たちは象徴的な存在になると思います。
 
藤沢 私たちの役割としては、外部の企業や民間団体をつなぐところに力を尽くしたい。そのための組織的な基盤づくりを、なんとかやりきりたいと思っています。
 

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