就学義務制度のほころびをこれ以上放置すべきでない

政策シンクタンクPHP総研 主席研究員 亀田徹

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多様な学びの実現に向けた動きがスタートした
 
 以上述べてきた問題の解決に向けた活動のひとつとして、新たな法律の制定を求める動きがある。「多様な学び保障法」の実現に向けた活動である。
 
 フリースクールやインターナショナルスクール、シュタイナースクール、サドベリースクールなどの関係者や大学教授などが集まり、「多様な学び保障法を実現する会」が設立されている(共同代表:汐見稔幸・喜多明人・奥地圭子。以下「実現する会」)。国会のフリースクール環境整備推進議員連盟が法案作成を関係者に示唆したことが設立のきっかけとなった。
 
 「実現する会」は、教育基本法のもとに学校教育体系と並ぶものとして、多様な学びでの学習体系を民間レベルで検討してきた。現段階での検討結果が「子どもの多様な学びの機会を保障する法律骨子案」としてまとめられている。主な内容はつぎのとおりである。
 
 (1)新たな法律の目的は、子どもの学ぶ権利の保障である。
 
 (2)保護者が市町村に届け出ることにより、学校以外の多様な学びの場(家庭も含む)で学習することが認められる。
 
 (3)自治体が設置する学習支援センターが子どもの状況を把握し、子どもや保護者を支援する。
 
 (4)多様な学びの場を選択した保護者に対して経済的な支援を行う。
 
 骨子案の特徴は、不登校の子どもだけでなく、インターナショナルスクールなどさまざまな教育施設で学ぶ子どもも対象にしていることだ。ホームエデュケーションも認めている。
 
 この法案が実現されれば、学校以外の場で学ぶことが正規の教育ルートとして制度的に認められることになる。学校以外での学習に対する社会的な認知度が高まることが期待されよう。さらに、自治体において学習や進路、生活に関する支援相談体制を整えることで、子どもの自立を支えることも可能となる。
 
 ただし、骨子案の内容については、関係者の間でもまだ議論が続いている。行政の関与と活動内容の自由とのバランスをどう調整するか、経済的支援をどのように行うかといった論点がある。
 
そこで、骨子案の論点について考えてみたい。

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