基本法の通常国会での成立に期待する

政策シンクタンクPHP総研 主席研究員 荒田英知

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道州制基本法案をめぐる経過について
 
 パネルディスカッションには、自民党から道州制推進本部事務局長代理の礒崎陽輔参議院議員、公明党からは道州制推進本部事務局長の遠山清彦衆議院議員、日本維新の会からは道州制基本法推進プロジェクト・チーム座長を務めた松浪健太衆議院議員が出席。主催者側からは、経団連副会長で道州制推進委員長の畔柳信雄氏と道州制推進知事・指定都市市長連合副代表の鈴木康友浜松市長が加わった。
 
 じつは国会議員の3氏は、推進連合が2013年3月31日に開催した道州制推進フォーラムにも出席しており、その際には、早ければ4月中にも道州制基本法案の国会提出が実現するのではとの見通しを語り合っていた。結果的には今日まで持ち越されたわけであるが、この間の経過について、まず3氏から発言があった。
 
 自民党の礒崎議員は、「私の発言が大きく報道されたことで、党内から反対の声が出てきた。その後、地方6団体との再度話し合いを行っているが、なかなか話がつかない状況が続き、参院選もあったために昨年の通常国会提出を断念した」と説明。地方6団体との協議の状況について「各団体とも真摯に対応いただいている」としたうえで、全国知事会については「知事会の意見を取り入れて地方支分部局の廃止を書き込んだ。また、税財源や財政調整についてもっと詳しく記述すべきとの指摘があるが、これは国民会議でどういう道州制にするかを決めてからでないと難しい」との見解を示した。
 
 また、全国町村会と全国町村議会議長会については「道州制絶対反対という姿勢。反対する理由は合併を強いられるからで、自民党は合併を前提とはしていないと説明してもなかなか信じてもらえない」と説明した。
 
 公明党の遠山議員からは、「基本法案をめぐる本気度が上がったことで、本気の懸念がでてきた。なぜ道州制が必要なのか、なぜ府県制ではダメなのかを丁寧に説明する必要がある」との発言があった。
 
 日本維新の会の松浪議員は、「昨年6月に、維新の会とみんなの党で独自の道州制基本法案を国会提出した。自民案との差は道州制導入までの年限くらいで大きな差はない。議論の時期は終わった。法案の成立を第一に考えたい」との考えを表明した。
 続いて、鈴木浜松市長は「1億2千万人の国家を中央集権でコントロールするのは無理。道州制の実現には下からの積み上げが不可欠で、基礎自治体が自立の覚悟を持てるかにかかっている」と指摘。畔柳副会長は「地方経済がGDPの約7割を占めることに目を向けるべき。地方の経済成長のためには、明治以来の国・府県・市町村の三層構造を改め、二重行政の解消により成長戦略の原資を捻出し、独自の魅力を活かした地域経営を行えるようにする必要がある」と指摘した。
 

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