基本法の通常国会での成立に期待する

政策シンクタンクPHP総研 主席研究員 荒田英知

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今国会での基本法案提出、成立の見通しは
 
 さて、1月24日に開会する通常国会で、果たして道州制基本法案は提出、成立に至るのであろうか。畔柳副会長からは、「何といっても早く基本法案を成立させて欲しいということに尽きるが、出先機関改革などを含め、できるところから取り組むことも大事。地域経済活性化に資する議論を進めてもらいたい」。また、鈴木浜松市長からは、「基本法案が成立すれば、道州制はがぜん現実味を帯びてくる。乱暴な議論はいけないけれど、細かいところにこだわっては先に進まない。われわれ自治体側も連携をさらに広げて活動を展開したい」と期待が寄せられた。
 
 維新の会の松浪議員からは「維新・みんなの基本法案を作る時に考慮したことは、できる限り早期に通すことと、地方支分部局の廃止や道州制の導入年限で少しハードルを高くしておくことだった。自民案が知事会の意見を取り入れて、地方支分部局の廃止に言及したことでより良い案になった。道州制国民会議への諮問事項もすり合わせているので、自公案が出てきたら瞬時に合意できる。早く出していただくことをお待ちするのみである」との発言があった。
 
 これを受けて、公明党の遠山議員は、「松浪議員が瞬時にと仰ったが、そうなるかどうかは自民党と地方6団体との協議次第である。それを待って、目に見える結果を出したい。いままでは道州制基本法と呼んできたが、国民会議を設置するプログラム法であることを明示すべきかもしれない」と応じた。
 
 最後に、自民党の礒崎議員からは、「発言は慎重にしたい(笑)。議論はおおむね煮詰まっており、互いに主張したいことは理解し合えた。そろそろ国会の責任で考えなければならない時期が来たと考えている。私としては修正すべき点は修正し、できれば今国会中に提出し成立するよう努力したい。従来の法案は、道州制の実施をある程度前提としていたが、道州制の導入そのものは前提とせず、将来にむけてやるために国民会議を設置してしっかり検討する、というところに落ち着くのではないか」との見通しを示した。
 
 「道州異夢」という言葉があるように、道州制に対するイメージにはまだまだ幅がある。それに一定の方向性を与えるためには、道州制国民会議のような専門機関による検討が欠かせないであろう。道州制基本法案が提出、成立して国民会議が設置されることは、道州制の実現にはなお道半ばかもしれないが、極めて大きな一歩であることもまた疑いない。今国会における成立に大いに期待したい。
 
 フォーラムを締めくくって、PHP研究所代表取締役専務で政策シンクタンクPHP総研の永久寿夫研究主幹が「松下幸之助が道州制を提案して45年になる。いよいよ今年、道州制基本法案の成立が視野に入った。今後、具体的な各論になれば、いっそうの知恵と工夫が必要になる。このフォーラムが道州制の前進に向けた起爆剤になれば幸いである」と閉会挨拶をして幕を閉じた。

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