日本の農業を大きく変えたい

株式会社グランパ 社長 阿部隆昭

二期工事(遠景)
二期工事中の陸前高田のドーム(写真提供:株式会社グランパ)

価値を生み出す「生きた補助金」に
 
 陸前高田での開業にあたって、地元から20人を雇用した。全員が農業未経験者だ。1年間をかけて彼らを教育し、2年目から収益を上げられる体制をめざしている。
 
「いま、人件費は補助金でまかなっているんですが、3年目には完全黒字化して、いただいた補助金を税金でお返ししていけるようにしましょう、と。そういう計画で、いま全力でやっているところです」
 
 経産省の補助金を活用してドームを建設し、事業を始めたのが1年目。2年目は農林水産省の補助金を活用してドームを増設し雇用を拡大するとともに、新しい技術を導入して生産性を高めた。
 
「これまでの農業は、往々にして単年度で補助金を使い切ってしまって、あとにはなにも残らないものが少なくなかった。ですが私たちは、この2年間で、ひとつの農場としては完成形に近いかたちに仕上げられるところまできました。補助金はやっぱり価値を生み出して、次につなげるような、効果的な使い方をしなければならないと思うんです」
 
 補助金は、「もらったもの」ではなく、「国からの一時預かり」。それを十二分に活用することで新しい価値を生み出し、事業として利益を出し、税金のかたちで国にリターンしていく。それこそが生きた補助金の使い方だと、阿部さんは力説する。
 
「たとえば1年目、2年目が赤字でも、補助金を特別利益として計上することでバランスシートは健全化します。そうすると、銀行からも認められてお金を借りやすくなって、事業を継続的に展開しやすくなります」
 
 起業家としてだけではなく、銀行マンとして数多くの事業と向き合ってきた阿部さんだからこその思いがあふれる。
 
「意欲があれば、立ち上げにかかるお金を国がある程度応援してくれるっていうことですから、これほど贅沢なお金のしくみってないんですよね。だけど、それに甘えちゃいけない。補助金で始めた事業だからこそ、ちゃんと利益を出して、税金として返していくっていう考え方をしないと」
 
 グランパの取り組みは、被災地復興のためだけではない。その企業経営のあり方は、日本の農業全体を大きく変える提案にもつながっている。

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