経営戦略としての働き方改革
―先進事例に見るキーポイント―
Talking Points
- 少子高齢化が進行する社会では、「長時間労働に耐えうる男性、もしくはそれと同等の働き方ができる女性の正社員」のみを対象としていては、企業も社会も必要な労働力を確保することができない。多様な人材が活躍できる、柔軟かつ生産性の高い働き方の実現は、企業の生き残りをかけた経営戦略そのものである。
- 本稿では働き方改革に積極的に取り組む先進企業として以下の事例を取り上げる。
事例(1)サイボウズ株式会社:選べる働き方で離職率の大幅改善と業績の拡大
事例(2)MSD株式会社:裁量労働制度と在宅勤務制度の組み合わせによるパフォーマンス向上
事例(3)ソウ・エクスペリエンス株式会社:子連れ出勤と副業の推進による人材獲得
事例(4)電化皮膜工業株式会社:高齢者の活躍と若手人材育成の両立
事例(5)川村義肢株式会社:障害者の積極雇用による生産性の向上 - 先進企業の事例が示唆する働き方改革の方向性は、以下の3点に整理できる。
(1)時間と空間を最適化する
(2)暗黙知を可視化する
(3)副業、複業を戦略的に活用する - 働き方改革を組織の中で実現するためには、経営者には以下の心構えが求められる。
(1)これまでの「当たり前」を疑う
(2)社員を信頼し、大切にする
(3)試行錯誤する
(4)透明性の確保
(5)社員に権限を委譲する
(6)事業戦略から働き方を考える
(7)トップ自らが言い続ける - 働き方改革の成否を分けるのは、経営者のビジョンある決断と改革に臨む断固とした姿勢である。