本格化する日本の科学技術外交
Talking Points
- 科学技術が国際政治、外交、安全保障に与える影響は多岐にわたっており、多くの国で、科学や技術を外交に活用する科学外交、あるいは科学技術外交の動きが活発化している。日本においては、最近まで外務省よりも内閣府におかれた総合科学技術会議が科学技術外交の推進役となってきた。
- 2015年5月に発表された「科学技術外交のあり方に関する有識者懇談会」報告書を契機にして、外務大臣科学技術顧問の設置と海外のカウンターパートとの関係構築、国内外の科学技術コミュニティとのネットワーキング等、外務省の科学技術外交の取組みが本格化しつつある。
- 科学技術外交を更に発展させていくには以下の取り組みが必要である。
- (1)より明確な姿勢表明
海外のアカデミーにおける総理や外相による科学技術外交に特化したスピーチ等 - (2)外務大臣科学技術顧問の基盤強化と更なる制度化
顧問の常勤化、スタッフ体制の充実、外務省内での役割の確立等 - (3)科学技術コミュニティとの連携強化
外交当局と科学技術コミュ二ティの相互作用深化、科学技術外交のシンクタンクとなる第三者組織の設立、技術者を擁する企業や科学技術分野の政府系研究機関との連携等 - (4)担い手の育成
外務省で中堅・若手の研究者が実務を経験できるフェローシップの検討、政府系研究機関等における科学技術外交ポストの設置、民間企業による資金やキャリア選択肢の提供等 - (5)日本政府の全体的政策との相互補完
各省庁の科学技術関連政策についての情報共有や政策調整の深化、日本が科学技術力で世界をリードする国家的政策の立案実行、科学技術の安全保障面での含意の検討等