指定管理者制度から公共施設のあり方を見直す
Talking Points
- 指定管理者制度は、導入件数、民間参入比率とも順調に進展しているかに見えるが、評価は必ずしも芳しくない。それは、導入効果として経費削減ばかりが注目され、従来型の管理運営委託との混同や、制度導入の背景への誤解等があるためだ。
- 指定管理者制度では、使用許可や利用料金の請求も含め業務全般を事業者に委ねる。自治体には、公共施設の目的の明確化とともに、基本協定による複数年契約と指定管理料に関する年度協定の併用など柔軟な制度運用が求められる。
- 指定管理者制度は、公共施設のあり方を根本的に見直す機会を提供する。モニタリングと評価の面では、住民の日常利用施設につき、評価員を研修・認定の上、民間評価機関に委ねる横浜方式が評価の効率性・専門性の点で注目される。
- 指定管理者制度の伸展は、行政財産に係る制約を顕在化させ、市民財産としての本質を問いかける。また固定資産台帳の作成に基づく財政見通しの上に、市民財産をどう活用していくかについては、指定管理者制度が重要な議論の機会を提供する。