新東京都知事が取り組むべき3つの課題

宮下量久 (政策シンクタンク PHP総研 政治経済研究センター研究員)

Talking Points

  • 石原都政では、認証保育所やディーゼル車規制など、全国でも先駆的取り組みが数多くなされた。しかし、新銀行東京の存続やオリンピック招致の問題など、積み残された課題も顕在化している。
  • 新銀行東京は東京都の中小企業支援策の1つにすぎない。都の中小企業支援策自体に、金融機関をモラルハザードに陥らせる危険性がある。このため、新銀行東京に関する議論は、その存続問題のみに矮小化してはならない。中小企業支援策全般について抜本的な見直しが必要である。
  • 夏季オリンピック招致の展望がないまま、4,119億円の東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金が「埋蔵金」のように都財政に積み残されている。財政余力のある東京都は、東日本大震災の復興資金として「オリンピック埋蔵金」の活用を検討すべきである。
  • 東京特別区と郊外市部では、都からの財政的自立を進めると同時に、行政区の広域化を図らねばならない。このことは、東京の都市構造を「一極集中型」から「多極分散型」に転換する好機になる。また「東京のかたち」を変えることは、道州制の制度設計にも影響するため、「国のかたち」も変えるきっかけになる。
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