武器輸出管理の課題
―我が国の安全保障を確保する制度と運用―

森本正崇 慶應義塾大学SFC研究所 上席所員(訪問)

Talking Points

  • 防衛装備移転三原則の運用に当たり、防衛装備移転による、日本の安全保障上の意義やリスクを評価し、担保する仕組みが必要である。適切な技術流出防止措置を講じることなく、防衛装備移転をすれば、技術の「だだ漏れ」になってしまい、日本の安全保障に不利益が生じてしまう。こうした仕組みを構築するためには、関係する各主体に様々な課題がある。
  • 経済産業省は、規制対象となる武器を国際的な規制水準と合わせることが喫緊の課題である。また、仲介取引や武器生産の登録制、さらに、技術流出防止のために、対内直接投資規制の基準の明確化や秘密特許制度の検討が求められる。
  • 防衛省は、防衛装備の移転による日本の安全保障への影響を判断する枠組みを構築する必要がある。その際、武器を保有又は研究開発する各幕僚監部や技術研究本部が中心的な役割を果たすべきである。現在、防衛省では装備庁新設に向けた検討が進められていると言われるが、こうした機能を装備庁が担うのか否かも注目される。
  • その他の主体としては、外務省や財務省、国家安全保障会議もそれぞれの所掌に応じて対応が求められる。
  • 防衛産業は、政府の判断に従うだけでなく、自らの意思で移転を決定する必要があり、判断の枠組みを構築しなければならない。防衛産業は、汎用品と比べて厳格な輸出管理体制を構築していないため、汎用品の輸出管理の蓄積を学ぶことから始めるべきである。
policy_v9_n68

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