世界を変える「日本の知」
―『Voice』2023年2月号特集―

『Voice』2023年2月号

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「激動の時代」という表現はいつの世にも好んで使われるものですが、ここ数年間ほど、この言葉が適した時代はないでしょう。

新型コロナウイルスのパンデミック、ロシア・ウクライナ戦争は、地球上の多くの国々に昏い影を落とし、インフレの高止まりや金融緩和・低金利政策の幕引きなど世界経済の視界は一気に不透明感を増しています。

民主主義・資本主義の矛盾や限界は至るところで噴出し、新興国の台頭により国際秩序の再構築が迫られています。

現代文明が行き詰まりを見せるいま、西洋近代の文化を吸収しつつも、欧米型とは異なる発展を遂げてきた日本なればこそ世界へ向けて発信できる「知」があるはずです。

政策シンクタンクPHP総研は、月刊誌『Voice』2023年2月号の特集1「世界を変える『日本の知』」に企画協力し、山積する地球的課題を新たに理解し、解決に導いていくために日本の「知の蓄積」をいかに生かすかを考察しました。特集の詳細は本ページ下部の「内容」にてご覧いただけます。

日本の長い歴史の中で培われてきた自然観・生活哲学、物づくりへの姿勢、日本文学や芸術、すぐれた科学技術や教育等の社会インフラなど、日本の知的蓄積には、危機を乗り越え、世界をより良い方向へ変えていく力が潜在しています。

問題は日本人自身がそれらを明確に言語化できていない、あるいは過小評価・過大評価していることなのではないでしょうか。

混迷を極める時代だからこそ、我々自身の足元を見つめ直し、日本の豊かな知を世界に開いていく必要があります。

PHP総研では、国際的な言論の場における日本発のナラティブのあり方を検討するPHP「日本のナラティブ・パワー」研究会を実施しています。関連して、本特集では、同研究会委員の御立尚資・京都大学経営大学院特任教授の対談、近日公表予定の同研究会提言報告書のエッセンスを紹介したプログラム・オフィサー大岩央の論考を掲載しています。

ご一読とともに、同研究会の成果にもぜひご期待ください。

【内容】

  • 「第二のジャポニズム」を到来させよ  山極壽一(総合地球環境研究所所長、人類学者) 「二元論」や「排中律」などの概念に基づく西洋近代は、いまや限界を迎えている。
    さまざまな地球的課題を解決するうえで、日本が世界に訴えるべき価値観とは。
    そして、われわれはその「日本の知」をいかに発信するべきなのか。
    ヒントは西田幾太郎などの言葉から漫画やアニメーションにまで求められる――。 
    山極壽一(総合地球環境研究所所長、人類学者)
  • 日本企業の勝機は「物魂電才」にあり 御立尚資(京都大学特別教授) 安宅和人(慶應義塾大学教授、Zホールディングス(株)シニアストラテジスト) パンデミックや激甚災害の頻発など都市型文明が限界を迎えるなか、人類はどのようなオルタナティブを提示するべきなのか。ともに企業コンサルに精通し、「風の谷」プロジェクトに携わる二人が示す未来とは。 御立 尚資(京都大学特別教授)/ 安宅和人(慶應義塾大学教授、Zホールディングス(株)シニアストラテジスト)
  • 科学技術を国の文化に据えよ 益 一哉(東京工業大学学長) 東京医科歯科大学との統合や入試への女子枠の設置など、新たな試みに挑み続ける東京工業大学。同大学の益一哉学長が、改革の狙いからいま日本に求められる「世界に開かれた知」について提言する。 益 一哉(東京工業大学学長)
  • 19世紀の日本と「文明の知」 苅部 直(東京大学教授) 19世紀の100年間、日本では新旧の思想・制度・習慣の間で展開された長い戦いが継続されていた。当時の思想は、近代史の歩みを反省し、未来について考えるうえでも、私たちに大きな示唆を与えてくれる。
  • 日本人が知らない「Ikigai」の価値 エクトル・ガルシア(スペイン人作家) 著書Ikigaiが世界的ベストセラーになったスペイン人作家が、日本の伝統や匠、モノづくりの真髄について語る。 エクトル・ガルシア(スペイン人作家)
  • 広島から示す「教育立国」への勝算 末松弥奈子((株)ジャパンタイムズ代表取締役会長兼社長、学校法人神石高原学園理事長) 日本の価値を世界に発信するうえで、どのようなグローバル人材を育成すればいいのか。2022年に創刊125周年を迎えた日刊英字新聞『ジャパンタイムズ』の代表を務めるかたわら、神石インターナショナルスクールの理事長を務める末松弥奈子氏が語る、日本の教育の課題と可能性。 末松弥奈子(慶應義塾大学教授、Zホールディングス(株)シニアストラテジスト)
  • いまこそ「グローバル言論人」を輩出せよ 大岩 央(政策シンクタンクPHP総研プログラム・オフィサー) 人類の未来を左右するグローバルリスクが顕在化するなか、求められているのは移行期を理解し、とるべき行動を指し示す新たなナラティブだ。
    危機の時代において日本がナラティブ・パワーを発揮するための課題と具体的施策を考える。
    大岩 央(政策シンクタンクPHP総研プログラム・オフィサー)
  • 時代を共有できる文学の可能性 吉本ばなな(小説家) 近年、日本文学が世界で評価される機会が増えている。コロナ禍や戦争などで分断が叫ばれているいま、文学をはじめとする芸術が果たしうる役割とは――。
    著作が海外30か国以上で翻訳出版されている、吉本ばななさんに聞いた。
    吉本ばなな(小説家)

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