日本をどう守るか
―『Voice』2022年6月号特集―

『Voice』2022年6月号

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岸田政権が日本の外交・安保政策の指針となる国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の改定作業を本格化しようとする矢先に、ウクライナ戦争は勃発しました。核大国が核恫喝をも伴うあからさまな侵略を行なう姿に世界は衝撃を受け、多くの国で国防政策の転換がはかられようとしています。

今次の戦争が、その帰趨に関わらず、国際秩序の転機となることは確実であり、とりわけ東アジアという苛烈な戦略環境に位置する日本は、平和と独立を守り抜く覚悟と行動を問われています。

この重要な局面に際し、政策シンクタンクPHP総研は、『Voice』2022年6月号の特集「日本をどう守るか」企画に全面協力し、新しい安全保障環境の性格、日本の戦略マインドや防衛力のあるべき姿、核兵器の位置づけ、軍のDXなど、我が国の防衛・安全保障における本質的な論点を多角的に検討いたしました。

陸海空自衛隊出身の統合幕僚長経験者による注目の鼎談、上記3文書改定に向けた自民党提言を取りまとめた小野寺五典元防衛相へのインタビューをはじめ、渾身のラインナップでお届けいたします。特集の詳細は本ページの下部、「内容」にてご覧いただけます。

日本が戦後享受してきた平和の前提条件は今や根底から揺さぶられています。これからの日本には、自らの運命を他国任せにせず、将来の自由度を最大化するために徹底して考え、行動に移す構えが何よりも必要になるでしょう。大きな方向性と具体的な選択肢について率直な議論を行ない、必要な政策転換を果断に実行することが肝心です。

本特集を、これからの日本の国防と世界の平和を考える建設的な公論の材料にしていただければ幸いです。

※政策シンクタンクPHP総研は、「日本の抑止力とアジアの安定」研究会を組織し、日本のこれからの抑止力のあり方について体系的に検討した成果を報告書「日本の抑止力とアジアの安定を考える」として発表しております。

今回の特集では、同研究会座長の岩間陽子氏(政策研究大学院大学教授・PHP総研客員研究員)が統幕長鼎談のモデレータをつとめ、同研究会メンバーである村野将氏(米ハドソン研究所研究員)が、関連論考を寄稿しています。報告書とあわせてご参照ください。

【内容】

  • 歴代統合幕僚長に問う「国防」の未来  折木良一(自衛隊第三代統合幕僚長) 岩﨑 茂(自衛隊第四代統合幕僚長) 河野克俊(自衛隊第五代統合幕僚長) モデレーター:岩間陽子(政策研究大学院大学教授) 専守防衛、核抑止、打撃力…。ウクライナ戦争が勃発して以降、わが国をどう守るかについても、さまざまな議論が飛び交っている。現在の世界と日本の未来について、自衛隊の歴代三統幕長が徹底議論する 歴代統合幕僚長に問う「国防」の未来
  • 核使用の恫喝から目を背けるな 小野寺五典(衆議院議員/元防衛大臣) 国際情勢を一変させたウクライナ戦争。国際社会は今後いかに対応するべきか、台湾有事への余波は、日本が考えるべき防衛戦略とは――。自民党きっての防衛政策通で、同党安全保障調査会長を務める小野寺氏が、わが国の安全保障のあり方を緊急提言 小野寺五典(衆議院議員/元防衛大臣)
  • DIMEに基づく国家戦略を築け 兼原信克(元国家安全保障局次長・同志社大学特別客員教授) ウクライナ戦争で混乱する世界。日本は中国やロシア、北朝鮮の脅威に対抗するべく、外交・情報・軍事・経済の総合的な大戦略をもて 兼原信克(元国家安全保障局次長・同志社大学特別客員教授)
  • リソース制約下での日米の防衛戦略 村野 将(米ハドソン研究所研究員) 中国に対して、すでに軍事的劣勢に立たされている日本と米国。米国にかぎらず各国が防衛リソースの不足に悩まされるなかで、いかに「勝利の方程式」を描くべきなのか。日米が置かれた現実と根本的な防衛戦略を検討する 村野 将(米ハドソン研究所研究員)
  • 「安定―不安定のパラドクス」の現実 秋山信将(一橋大学大学院法学研究科教授) ロシア・ウクライナ戦争で露わになった「核の恫喝の下でのハイブリッド戦争」とは 秋山信将(一橋大学大学院法学研究科教授)
  • 米軍が進めるDXと「未来の戦い方」 布施 哲(テレビ朝日ワシントン支局長) 米国が2020年代に想定する台湾有事に備えて、「切り札」として進めているのがJADC2というDX計画だ。彼らが考えている、新時代の戦いとはいかなるものか。そして、それは日本の自衛隊にとって、黒船になるのか、あるいはパンドラの箱なのか―― 布施 哲(テレビ朝日ワシントン支局長)
  • 新安保戦略で東アジアに「一世代の平和」を 金子将史(政策シンクタンクPHP総研代表・研究主幹) 「危機の30年」に東アジアで戦争を生起させないために、いかなる戦略転換が求められるか――。いまこそ「お任せ平和主義」から脱却するとき 金子将史(政策シンクタンクPHP総研代表・研究主幹)
  • 米国のジレンマと「核三極体制」リスク アンドリュー・クレピネビッチ(米ハドソン研究所上席研究員) 欧州とインド太平洋のどちらを重視するか。そんなトレードオフのジレンマに悩まされている米国。日米の戦略的連携をどう更新・強化していくべきか、米国を代表する防衛戦略家が直言する アンドリュー・クレピネビッチ(米ハドソン研究所上席研究員)

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