【PHP総研特別レポート】
再生可能エネルギーがもたらした地域付加価値に関する実証的研究
~再エネと地域との共生のかたち~

山下英俊(一橋大学大学院経済学研究科 准教授)
小川祐貴(株式会社E-konzal 研究員)
佐々木陽一(政策シンクタンクPHP総研 研究コーディネーター)

2050年カーボンニュートラル宣言を機に、国は脱炭素政策のギアを上げました。グリーンシフト(脱炭素化)の牽引役として、再生可能エネルギーへの期待が一層高まり、その導入に向けた自治体や企業の動きが活発化しています。

ただ、再エネの導入には、再エネと地域との共生関係が欠かせません。地域、住民との協調の結果として再エネの投資収益性が向上し、脱炭素化の実現にも資すると考えられます。しかし、「地域に貢献的な再エネとは何か?」「施策や事業をどのように組み立てれば良いのか?」と悩む自治体や企業は少なくありません。地方創生に貢献的な再エネ導入のあり方が今、問われています。

本稿では、東日本大震災後に、再エネ導入と被災地の経済復興を目的に実施された「再生可能エネルギー発電設備等導入促進復興支援補助金」(通称:半農半エネ事業)を題材に、再エネが発電事業開始20年後までに地域へもたらす経済効果を試算。さらに、今後の市場競争の激化や導入支援水準の引き下げを見通しつつ、地域に貢献的な再エネ政策や、地域と共生する形で再エネが導入されるために必要な事業設計のあり方を考察しました。

【内容】

要旨
 
はじめに
~本レポートの目的と意義~
第1節
半農半エネ事業の概要
1.1 事業の特長
1.2 事業対象地域
1.3 事業の予算規模と補助内容
第2節
発電設備導入時の実績と効果
2.1 発電事業者
2.2 発電所
第3節
発電開始後(発電事業、ふるさと再興事業)の実績と効果
3.1 モニタリング調査の概要
3.2 発電事業の実績
3.3 ふるさと再興事業の実績
第4節
地域付加価値創造分析を用いた半農半エネ事業による地域経済効果の試算
4.1 地域付加価値創造分析とは
4.2  半農半エネ事業による地域経済効果の試算方法
4.3  半農半エネ事業による地域経済効果の試算結果
第5節
地域経済効果のケーススタディ
5.1  事業A─「複合被災地での農業復興のための太陽光発電設備設置事業」
〔(合同)みさき未来・三浦広志、南相馬市〕
5.2  事業D─「川俣町山木屋地区復興メガソーラー発電事業」
〔かわまた復興発電(合同)、川俣町〕
5.3  事業G─「南相馬市太田地区周辺の農業と再エネの共生による地域再生事業」
〔(一社)えこえね南相馬研究機構、南相馬市)
第6節
まとめ
(1)結論
(2)今後の再エネ政策への示唆

参考文献

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