日本の新時代ビジョン 「せめぎあいの時代」を生き抜く楕円型社会へ
鹿島平和研究所とPHP総研は、「変われない日本をいかにして変えるか」をテーマとする共同研究会「新時代ビジョン研究会」を立ち上げ、これから日本がいかなる時代認識の下でどのような社会を目指していくのか、そして、バブル崩壊後、改革の必要性が常に叫ばれながら、戦後の成功モデルから十分に脱することができなかった日本が、いかにして時代に合った自己変革を遂げることができるのかについて真剣な検討を重ねてまいりました。このたび、その成果をPHP新書『日本の新時代ビジョン 「せめぎあいの時代」を生き抜く楕円型社会へ』としてまとめました。
本書は現代社会を、古いものと新しいもの、矛盾する方向性がぶつかり合いながらも並存する「せめぎあいの時代」と捉えています。そして、「せめぎあい」の現実に向き合いながら、複数の中心を自覚的に存在させる「楕円型社会」を日本が目指すべきビジョンとして提案し、その実現のための五つの原則を示しています。
第二部には、研究会にお招きしたゲストスピーカー17名との自由闊達な対話を収録しています。さまざまな領域の第一線で活躍する実践者、リーダー、研究者による問題提起とそれに続く自由な意見交換は、新しい文脈の中で日本を捉えなおす貴重な視点を与えてくれます。
ぜひ本書をお読みいただき、みなさまご自身が新しい社会のビジョンを描き、行動する際の糧になるのであれば幸いです。
▼新時代ビジョン研究会の詳細はこちら▼
https://thinktank.php.co.jp/policy/5031/【内容】
目次
はじめに
- 第一部
- なぜ私たちは変わらなければならないのか
- 四つの「せめぎあい」から見る現代社会
- グローバル化と国家の復権
- 工業化とデジタル化
- テクノロジーの活用とリスク社会化
- ヒエラルキーとネットワーク
- 第二部
- 対話篇
- 爆発するルネサンス
- 御立尚資(ボストン コンサルティング グループ シニア・アドバイザー)
- 日本軍のパラダイムを考える
- 戸部良一(防衛大学校名誉教授)
- 国家を守る保険制度
- 片山杜秀(慶應義塾大学教授)
- 人間とチンパンジーを分けるもの
- 長谷川眞理子(総合研究大学院大学学長)
- AIは意味を扱えない
- 西垣通(東京大学名誉教授)
- 大学に一〇兆円の基金を
- 安宅和人(慶應義塾大学教授)
- 日本版故宮をつくれ
- 椿昇(現代美術家)
- 食こそ最強の観光ツール
- 本田直之(レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役CEO)
- ディープラーニングの実装
- 長谷川順一(Preferred Networks執行役員 最高業務責任者)
- 「わがまま」を認める会社
- 青野慶久(サイボウズ代表取締役社長)
- 「厳しい人本主義」への回帰
- 伊丹敬之(国際大学学長)
- 株主重視と社員重視のあいだ
- 三品和広(神戸大学教授)
- デジタルトランスフォーメーションの挑戦
- 湯崎英彦(広島県知事)
- アジアのリーダー都市へ
- 高島宗一郎(福岡市長)
- 小さな世界都市をつくる
- 片山健也(ニセコ町長)
- 謎の国・日本を言語化せよ
- 大屋雄裕(慶應義塾大学教授)
- 同調圧力を超えるエビデンス
- 宮田裕章(慶應義塾大学教授)
- 第三部
- せめぎあいの時代を生き抜くために
- 1.
- せめぎあいの時代には楕円型の社会を
- 2.
- 新たな中心をつくるための三つの「場」
- 「地域」が変える、「地域」が変わる
- 社会とつながる「企業」に人材が集まる
- もっとも変わることを迫られている「教育」
- 3.
- この時代を日本が生き抜くための五つの原則
- ① 人を大切にする社会、人に投資する日本に
- ② 言葉・歴史・風土に根ざす価値を再発見し、世界に伝えられる日本に
- ③ 変化の兆しを受けとめ、学び合える、寛容な日本に
- ④ 検証可能な記録を残し、自らを律し育てる日本に
- ⑤ 情報を共有し、みんなで未来を決めることができる日本に
- 4.
- むすびにかえて