持続可能な国土利用の「新陳代謝」を促すことで、新しい「国富」を次世代へ継承する
―中間とりまとめ―

 近年、自然災害が各地で頻発し、人命、資産に甚大な被害をもたらしています。平時においても、人口減少に伴う空き家、所有者不明土地の増加など、資産の低・未利用化が進んでいます。今後、こうした事態はより深刻化すると見られます。土地や住宅、工場などの不動産が資産全体の中で占めている比重の大きさに照らして、わが国の「国富」(資産から負債を差し引いた国全体の正味資産)は価値毀損の巨大なリスクに晒されていると言えます。
 にもかかわらず、国・自治体の対応は後手に回っており、国富の縮小、国・地方の負担の拡大を招きかねない現状にあります。かかる悪循環を断ち切るためにも、中長期的な視点に立って、資産の適正な流動化(売買、賃借等)をはかり、災害リスクに対応することにより、資本生産性の向上、経済成長の推進力のダイナミズムを生み出す政策立案が急務です。
 そこで、政策シンクタンクPHP総研は、資産価値の毀損防止、法律・制度や行政機構の抜本的改革、国民の社会的慣習のパラダイムシフトのあり方など、「新国富創成」に必要な「国家の大計」を提言すべく、学識者、実務者などから成る研究会を設立し、ヒアリングと議論を重ねてまいりました。
 このたび、これまでの成果を『中間とりまとめ』として公表することにいたしました。この『中間とりまとめ』は、時代やニーズの変化に応じて土地・建物の利用形態を柔軟に変える「新陳代謝」を目指すべき姿と位置づけ、土地・建物の「流動性」と「多様性」を高める「原理・原則」とそれに基づく「課題と解決の方向性」を提示しています。
 本研究会はさらに検討を進め、具体的な提言をまとめてまいります。本中間とりまとめが、来たる第25回参議院議員選挙をはじめとする様々な場面で、わが国の新しい国富の創成という重要テーマについて、政治、行政、企業、国民の間での議論が行われるきっかけとなることを願うものです。

PHP「新国富創成」研究会メンバー

 

山崎福壽
(日本大学経済学部教授、上智大学名誉教授) ※座長
川崎一泰
(中央大学総合政策学部教授)
佐藤康之
(松田綜合法律事務所パートナー弁護士、東京大学工学部非常勤講師)
蛭間芳樹
(日本政策投資銀行サステナビリティ企画部兼経営企画部)
宮下量久
(拓殖大学政経学部准教授、政策シンクタンクPHP総研客員研究員)
佐々木陽一
(政策シンクタンクPHP総研主任研究員兼シニアコンサルタント)
(敬称略、順不同)

【内容】

<目次>

本研究会の設立趣旨

持続的な国土利用の新陳代謝が「新国富」創成のエンジンだ
土地・建物の流動性と多様性を高める原理・原則
土地・建物に関する諸課題と処方箋
  •  Ⅰ. 土地・建物に関する政策体系を「クローズドレジーム」から「オープンレジーム」に転換
  •  Ⅱ. 不動産に関する情報を開示・共有
  •  Ⅲ. 選択の自由度や複眼的な時間軸で土地・建物を評価
  •  Ⅳ. 不動産問題には事後的対応ではなく事前的対応が必要
  •  Ⅴ. 国民のリスクリテラシーを高め、モラルハザードを最小化
  •  Ⅵ. 国土形成は一極集中ではなく多極分散が必然
  •  Ⅶ. 土地・建物の購入や利用は「私的選択」ではなく「公共選択」として認識
持続可能な国土利用の「新陳代謝」を促すことで、新しい「国富」を次世代へ継承する ―中間とりまとめ―

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