コロナ禍は見過ごしてきた課題を一気に進めるチャンス
2、オンライン化で生まれた距離を超えた友情
――子どもたちの様子はいかがでしたか?
平岩:一斉休校の通達は本当に突然のことだったので、木曜日に決まって、翌週の月曜日から休校で、「えっ金曜日来て終わり?」という戸惑いが見られました。突然だったのでどうやって過ごしたらいいかもわからないし、学校側も混乱していました。ですので、学校と子どもの連絡体制もできておらず、3月以降一度も学校や友人と繋がっていない子も数多くいました。そこで、私たちが率先して機動力を発揮して、「つながりたい人たちはどうぞ」とオンラインで友達や私たちと繋がる場を設けると、とても喜んでくれました。
子どもたちもまさに社会と隔絶されたような状況になっていましたが、誰かとつながっておしゃべりができて、画面越しにでも友達の顔を見て、みんな同じような感じなんだということが分かれば、安心できるんですよね。
学校は 「誰かひとりでもつながらない子が出ることは許されない」という足かせがあって、なかなかオンラインに踏み切れなかった。悪平等という指摘もありましたが、行政が公平性を大切にするのも理解できますから、私たちが率先して機動力を発揮し、どんどんやれることをやっていきました。つながれない子もいるかもしれないけど、つながれる8割、9割の子をカバーしようと。それがやれたのはよかったなと思います。
――通常のアフタースクールでは、スポーツをやったり、アートをしたり、遊んだり、子どもたちがいろんな放課後の過ごし方をしていたと思います。オンラインではどのようなことをされていたんですか?
平岩:前半はオンラインでつながっておしゃべりしたり、クイズやなぞなぞを出したりといった程度だったんですが、後半はダンスなど、習い事のようなものも再開していきました。学校のリアルな場ではそういった活動は休止していたんですが、オンラインでは先行して始めましたし、リアルでも7月をめどに再開しようと考えています。子どもたちもすべて中止ばかりではいけませんので。
――アフタースクールに来ているお子さんは、どのように過ごしていたんですか?
平岩:午前中は学校から出た課題をやったり、学校によってはオンライン授業を受けたりもしていました。午後はめいめいの好きな遊びをしたり、校庭や体育館で体を動かしたりしていました。
おもしろかったのは、オンラインで全国のいろんな学校や学童の子どもたち同士がつながれたことです。オンラインでつながった先にはいくつもの学校や学童の子たちがいて、違う学校同士の子どもたちが友達になったりするんです。東京の子と岩手の子が友達になったりして、ゴールデンウィーク頃に岩手の子が「これから桜だ」と言うのを聞いて東京の子たちが驚いていたりして、ああこういう効果もあるんだなと思いましたね。
――アフタースクールが入っている学校に限らず、いろんな学校とつながられたんですか?
平岩:オンラインでコンテンツを提供するにあたって、自分たちが運営しているアフタースクールに加えて、せっかくだから全国の学童さんもよかったら参加して一緒に遊びませんかと呼びかけたんです。そうすると色々な地域の学童さんが参加してくれました。そういう全国のつながりができたことも大きな収穫ですね。
――オンラインコンテンツの提供はどのようにされたんですか? Zoomとか?
平岩:本部で配信部隊をつくって、Zoomでつながってというかたちでした。最初は単純になぞなぞを出すとか、そんな感じだったんですが、映像に向いた企画をするようにしていきました。
――自宅にいる子どもは、家庭にあるパソコンやタブレットを使って参加していたのだと思いますが、学童にいる子どもたちはどうやって参加していたのでしょうか? 学童でデバイスを持っているのか、子どもたちがスマホなど持っているものなのか。
平岩:本当は各地の学童が持っているデバイスを使いたいんですけど、それがあまりなかったんですよね。そもそも持っていなかったり、持っていても事務用の一台しかなかったり、行政に確認したら目的外使用は認めないと言われてしまったり。結果的にはタブレットをこちらから貸し出して参加してもらったところもあります。