思いをアクションにつなげられる世の中に

gooddo株式会社 代表取締役社長 下垣圭介 (聞き手:PHP総研 山田花菜)

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――今後のgooddoとしての課題や目標、下垣さん個人としてつくりたい社会の姿はありますか?
 
下垣:僕が究極やりたいことは、「一人ひとりが社会課題を解決する力を持っていることを自覚し、行動できる社会」をつくることかなと思っています。
僕も6年前までそうだったのですが、「自分には社会を変えることはできない」と思っている人が大半だと思います。
 確かに一人ひとりの力は弱いかもしれないけど、自分の行動が課題解決の一歩になっていることを、みんなが考えられるような世の中を、僕はつくりたいと思っています。
 何を課題とするかはその人が自分で決めたらいいし、アクションの手段は、寄付だったり投票だったり、いろいろあると思います。だけど、その人にとっての課題(どういう社会にしたいか)に対して、0.1でもいいから何かやれるような素敵な世の中にしたいと思います。
 
――自分の社会貢献度を実感できることは、社会の一員であるという自覚にもつながっていくでしょうし、そうすると、居場所感のようなものもきっと出てきますよね。
 
下垣:そうですよね。gooddoを通してNPOを知ってくれた人で「無料で応援」をした後に、直接その団体に寄付をする人は何人もいるそうです。そういう方は、寄付によって、役に立てていることを実感して、ポジティブになれるらしいです。やっぱり感謝されるのは、気持のいいことですから。そういう出会いをたくさんつくれたらいいなと思っていますね。
 
――gooddoの海外展開はされないんですか?
 
下垣:行きたいですね。
 
――アメリカとかは寄付の市場がものすごく大きいですよね。
 
下垣:gooddoのような仕組みは、アメリカでは必要ないかと思います。
 
――すでに寄付が当たり前の文化になっているから、新たなスキームは必要ない?
 
下垣:そうですね。必要がないというと極端かもしれませんが、アメリカにはすでに出来上がっている仕組みがあるので、もっとほかに必要としている国があると思っています。
 
――どちらかというと、これから公共セクターが育って行くような国ですね。
 
下垣:要は高度経済成長が終わり、いまある仕組みを変えていかないといけないなというフェーズの国ですね。
 経済成長が鈍化してきて、営利企業と行政の隙間を支えるような基盤がない、いまの日本のようなフェーズに5年後、10年後来る国が、いくつもあると思うので。
 その頃までに日本でちゃんとモデルを作り上げて、それを持って行けたらいいなと思います。当然それは僕一人でも、gooddoだけでもできる話ではないので、みんなで一緒にがんばりつつ、我々もそれなりに貢献したメンバーとして、歴史の教科書に載りたいな、と思っています(笑)。
 
――本日はありがとうございました。
 
下垣 圭介(しもがき けいすけ)*1984年生まれ。大学卒業後、株式会社セプテーニに入社し、インターネットマーケティング事業を担当。2010年、ソーシャルメディア事業部の立ち上げに携わったことをきっかけに、ソーシャルセクターの可能性に気づき、誰もが気軽に社会貢献に参加できる仕組みとして、2013年に新規事業として社会貢献プラットフォーム「gooddo」を立ち上げる。2014年10月に同事業を法人化し、代表取締役に就任。
 
【写真:長谷川博一】

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